某月某日

冷え込んだ月。

謎のカボチャ

Photo: jack-o-lantern 2009. Tokyo, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)
Photo: “jack-o’-lantern” 2009. Tokyo, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

やっぱり、どう意気込んでも、日本には余り馴染んでいないイベント、ハロウィン。

去年、近所の 100円ショップに立ち寄ると、もう数時間でゴミ箱行きになってしまうハロウィンのカボチャ達が寂しそうに並べられていた。

思うに、100円ショップにハロウィンを祝う層は、あまり来店しないのだろう。当初 100円ではなかったカボチャも(300円ぐらいだったのかな)、まるで売れなかったのか、いまや投げ売りでその店の最低の値段、つまり 100円にまで値下げされている。 僕は気まぐれにそのうちの一個を選んで、流し用の排水ネットや、缶詰と一緒にカゴに放り込み、連れて帰った。


それから数カ月、本棚の片隅に転がしたままのジャックランタンは、腐るわけでもなく平然としていた。あるいは、月夜の晩に何かの魔力でも吸い取っていたのかもしれない。

カボチャは年を越し、そして、最後は、ちょっぴり黴びた。写真を撮って、捨てた。

Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

Photo: octopus 2009. Chiba, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)
Photo: "octopus" 2009. Chiba, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

Zeiss の単焦点の中でも、有名な 85mm。その αマウント版、Planar 85mm F1.4 ZA、 フルサイズセンサのデジタルカメラで、Zeiss レンズをAFで使うことが出来るのは、このαシリーズだけだ。僕がαのボディーを買ったのも、ひとえにこの焦点距離の Planar を使いたかったから。レンズは、7群8枚の 640g でMM マウントの Planar 85mm と比べても重い。

このレンズの特徴である、ピントの薄さ、幻想的な暈けなど、独特の味はやはり変わらない。αと組み合わせたときの発色の派手さというか、贅沢な感じ の色のノリは、デジカメっぽくない印象。にも関わらず、グレインノイズ無しのクリアな画像データが生成されてくることに、違和感というか、驚異を感じる。 このレンズの特徴は、味付けがないとか、ニュートラルとか、そういうのとは対極にある。

今日的な一眼レフデジカメのレンズとして見たときには、フォーカス速度は遅く音もけっこうする。αマウントのレンズのラインナップとしてみても、こ のレンズは SSM ではなく、電子制御的な観点から見ると見劣りがする。また、マニュアルフォーカスで使った場合でも、その操作感は、あまり良くは無い。それでも、この焦点距離の Zeiss を一眼レフで使える嬉しさは、その画質を考えると、他のデジカメ用レンズには代え難い価値がある。

このサイトには、α900とPlanar T* 85mm/F1.4(ZA)の作例も色々載せているので、併せてご覧いただければと思う。