突然の雨

rabbit
Photo: "rabbit" 2011. Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

突然の雨に降られて、狭い飲み屋街の路地を早足で歩く。

ウサが梅花をもって、ちょこんと座っていた。


そのウサからさほど遠くない所で、ちょっと良さそうな居酒屋を見つけた。

雨に冷えた体を燗酒で温め、白魚の天ぷらを少し食べる。


今年ほど、春が待ち遠しいこともない。

梅林の春

a little spring in the antro
Photo: "a little spring in the antro" 2011. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

枯れ葉の上の歩き、どんぐりをつつき、まだ芽を出さない枝を眺める。

あまり見るものがないなぁと、ずっと奥まで歩いて行くと、梅林だけが華やかだ。

湿った曇天に、揮発する梅の花の匂いが立ちこめている。春はここから来るのか。


切り倒された古い切り株の洞をのぞき込むと、そこにもちゃんと春が来ていたよ。

モスク、風と水の場所。

pray
Photo: "pray" 2010. Malacca, Malaysia, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA)

それは、祈っているのか、あるいは午後の眠りなのか。あまりにも静かな空気。
イスラム寺院の気配は、仏教寺院にも、キリスト教会にも似ていない。ただ、風が、よく吹き抜ける場所だな、と思う。

今回の旅で、僕は自分がイスラムの事を何も知らないのだと言うことを知った。これだけ知らないものに、おいそれと意見を言えたものでは無いな、とも思った。


モスクの中から、僕たち観光客を眺める、髭の男達が僕には正直少し怖かった。しかし、彼らは至って静かに、吹き抜ける風に身を任せていた。そんな場所を、僕は見たことがなかった。

体を清めるための泉に、水がたたえられている。大理石の泉に、安っぽくてカラフルなプラスティックの柄杓が浮いていた。モスクは、水と風の場所だった。