レールでゆっくりカメラを動かすクローズアップ。似たような、うんざりするカメラワーク。それを繋いでいく。なんでそんな事をするのか、被写体が退屈すぎて、そうしないと間が持たないからだ。「ここはレールで動かしましょうかね」そんな会話をディレクターとするのは、たいてい、被写体の間を持たせるために過ぎない。
「Save the catの法則」 を読むと、脚本家が守らなければならないストーリーテリングの黄金律とベストプラクティスがこれでもかと提示されている。そして、そういう目でコンテンツをみると、いかにそれがきちんと守られているかが分かる。面白いけど、心に残らない、そういうコンテンツは、きっとそのルールを厳粛に守っている。だから、商業的に面白いという一線を外さないのだ。たとえ、総体としては無価値なものだとしても。
全てに配慮し、なにも描きたくない、そんなユニバーサルなコンテンツ。これほどのカタログがあって、何も観たいものがない。新着を見てみる。「ミッドナイトアジア東京」、薄っぺらい。撮る前にしっかり出来上がったストーリーボードに、ステレオタイプなアジアントウキョーBロールを埋め込んだ、「ドキュメンタリー」は見るに堪えない。ガイジンにツアーするための、トウキョーだろ、これは。多様性というのは、カッコヨサの切り貼りの事では無い。不愉快と不協和音の許容だ。アジアの夜というのは、ポスプロで色をおもいっきりビビッドに振る事なのか?つまり、またまたまた(半年ぶり何度目か忘れた)Netflixをキャンセルしたという話。攻殻機動隊の新シーズンが来たら呼んでくれ。
Asian documentariesに登録してみた。「街角の盗電師」に興味が有ったからだ。火花の散ってる電線を糸鋸で切ってる。のっけから、ビジュアルが凄い、頭の中ではとても考えつかない画。月の初めの1日から月末までのサブスク単位になってるので、もう月の後半だしもうちょっと待つ?とも思ったけど、そんなセコイ考えを振り切って見て良かった。
「私の名は、塩」も凄かった。カットに力が有りすぎるし、予備知識なしに見ると、更に良いと思う。(だから内容は書かない)解説には、”この映画は、資本家に搾取される貧しい労働者の社会問題を追及するためのものではなく、人間の営みを観察し、私たちの生きている世界や、私たち自身の生きざまについて、まるで映し鏡のように、私たちに問いかけてくるものなのです。”とある。ドキュメンタリーというのは、ニュートラルであって欲しい。ニュートラル?なんてものはもちろん実際には存在しないのだけれど、目線にどれだけの誠実さとか、真摯さとか、そういうものがあるのかは大事だと思う。
ところで、この動画配信サービスには、もちろん専用アプリは無い。ブラウザでご覧下さいという事で、Apple TVへのAirPlayで見ているのが、地味に不便。Apple TVはブラウザをサポートして欲しい。(そういうのは無理があるのはよく分かるが)tvOSBrowserってのをXcodeでbuildして入れてみたが、動画内のコントロールが押せない。自動再生ならいけるのでcodecは動くみたいだが、残念。あ、テレビは内蔵ブラウザあるか?最近のRegzaには、無いそうです。地味に毎回の操作が苦痛な(画質やフレームレートは問題無い)AirPlayで見るのが今のところは最善手。