プレゼンテーション技術とか、そういうものの本を読んだりしていると、必ず行き当たるのが、TED(Technology Entertainment Design)という単語だ。
詳細はwikiのTEDのエントリに譲るとして、この団体が無償で公開している大量のプレゼンテーションのコンテンツのクオリティーの高さには本当に驚く。実際にイベントに参加するためには、70万円ほどの年会費が必要だ。高い、しかし、それが無理なら無償(!)でネットでコンテンツを見ることが出来る。Ideas Worth Spreadingという彼らのコンセプトが、ネットと結びつくことで、選りすぐりの知性がノーコスト(もしくは、限りなくローコスト)で提供されているのだ。
TEDのコンテンツはいつでも、誰でも観られる。
ただし、それを見つけられるかそうでないか。それにアクセスして、3分?1時間程度までのプレゼンテーションを見る気力があるか。そして、自分の何かを変化させようと思うのか、思わないのか、誰に強制されるわけでもなく、どこまでも個人の裁量の範疇だ。
個人的には、カメラマンのジェームズ・ナクトウェイのTED Prizeを受賞した講演「James Nachtwey’s searing photos of war」にかなりのインパクトを受けた。プレゼンテーション技術があるわけでは無いし、スライドも自分が撮った写真だけだ(これはちょと反則かもしれない、彼の写真よりも聴衆に迫るビジュアルを作れるプレゼンターは、まず居ないだろう)。にも関わらず、写真を撮ることが、世界を変えるんだ、という静かな信念をとつとつと語る姿勢に、鬼気迫るものがあった。
この講演はちょっと長いので(20分)、手短にTEDがどんなものかを知りたいのであれば、下に貼ってあるデレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」を観てみると良いと思う。このプレゼンテーションはたったの3分だが、観る前と観た後では、世界に対する見識が数ミリ変わってくると思う。プレゼンテーションの巧さもさることながら、説明に使っているビデオも秀逸。元々ミュージシャンの人らしいけど、短い時間のプレゼンが巧いというのは凄い。(View subtitlesを押せば日本語の字幕も出ます, iPhoneの方はこちら)
21世紀に入ってのネット社会の広まりは、ただ商業主義的な側面ばかりが目立った10年だったと思う。しかし、もっと知識とか共有とか、そういう方向性にネットを使っていく流れが確かなものになってきていることを、最近特に感じるようになった。
丁度今日、TEDxTokyoのイベントが開かれていて、中継映像ももちろん見ることが出来る。