大阪とマヨと葱

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初めて大阪に行ったときは、歩いている人間がみんな竹内力に見えたが、流石に最近はそうではない。
葱焼を頼んだら、ポン酢醤油で食べるように勧められた。関西でもポン酢なのか、意外だ。でも、なんとなくそれではつまらない。別にマヨネーズが好きなわけではないけれど、葱焼にマヨネーズを沢山かけて食べると、美味しい。サラダっぽい。
今回の新しい発見。
この店のマヨネーズは自家製らしい。それもポイントか。

メメント・モリ

ある首斬り役人の日記
メメント・モリ
死を忘れるな
 
 
 
 
 
 
 

三島製麺所

Photo: 三島製麺所 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo: "三島製麺所" 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

映画 UDON を、もちろん僕は見ていない。多分、この先も見ないだろう。だが、僕は、この UDON の国に来てしまった。

空港に着くと、親切な「地元を愛する一市民」さんの手引きによって、僕はすぐさま映画に登場した山間の製麺所に案内された。お土産にもってきた、東京黒バナナを渡すと、引き替えにプリントアウトした web 地図を渡された。


「えーと、これ地図なんで、ナビお願いします」
「!?」

僕は香川に来たのは生まれて初めてだった。空港と市街の位置関係も分かっていないわけだが、僕がナビをして本当に良いのだろうか。
「私も行ったこと無いんで」
「そうですか、、」

約一時間後、地図の上下を逆に見るという、いささかの落ち度はあったものの(徒歩では方向感覚に自信があるのだが、車と地下はダメだ)、一山越えて目指す製麺所のある小さな町に着いた。

国道から曲がる目印は「タバコの自販機」。それは、目印と言えるのだろうか。さらに迷いながら、目指す民家としか言いようの無い店にたどり着く。

店の入り口は、ガラリと開け放たれていて、1つだけ置かれた大きな食卓(テーブルというよりも、家の食卓をそのまんま持ってきたような代物なのだ)には、明らかに地元の人と思われるオバチャンが固まって座り、ジロリと眺められた。


映画の宣伝で見たまんまの、店のおばちゃんが、

「熱いの、冷たいの?」

と聞いてくる。

注文した「熱いの」は、飾り気のない、立ち食い蕎麦屋の丼みたいなものに入って出てくる。汁は無い。東京でセルフの店で食べたことはあるし、ルール はなんとなく分かっているのだが、テンポがあまりに速い。思うに、この店は初めて行くうどんの店としては、あまりに敷居が高いのではないか。同行の「地元 を愛する一市民」さんの方を見ると、いささか目に狼狽の色があるのは気のせいか。

丼を前にして、まごついていると、先ほどジロリと眺めてきた地元のオバチャンが、「この卵かけな」とか「醤油入れて」とか教えてくれた。有り難うオ バチャン。うどんのように白くふくよかな腕で、彼女がゾロゾロとうどんを啜る様は、あまりにも画になっている。この店で何十年も食っているのだ。


うどんは柔らかめで、ウマイんだか、マズイんだか、正直よく分からなかった。とにかく格好がつくように、卵と醤油を入れて、グルグルまぜて食べた。葱は入れ忘れた。よそ行きでは絶対無い、何十年も食い続ける、そういう味がした。

帰りがけ、値段がよく分からなかったので、500円玉を渡したら、お釣りはえらく沢山戻ってきた。