Production I.G の IPO

mark384.jpgProduction I.G がIPOするらしい。
I.G 作品の中で一番好きなのがパトレイバー2だ。脚本の密度、絵づくり、リアリティー、どれをとっても一番良い。良くできた作品に漂う隙の無さ。第一次湾岸戦争直後のタイミングで発表された作品だが、そこに漂っていた漠然とした未来への不安感は、今、テロへの不安につけいって様々な思惑が蠢くこの時代に、もう一度新しい。
フィクションに於けるリアリティー。それは虚構の世界に築かれた日常に宿る。
映画の中盤、首都が事実上の戒厳下に置かれる。首都高を走る陸自の治安出動部隊。トレーラーに乗せられた 90式のハッチから呆然と夜のオフィス街を眺める戦車兵と、それを窓に張り付いて見つめる会社員。お互いが、お互いの新しい役回りに慣れることができない瞬間を、このアニメーションは切り取っている。
未だ見ぬ光景への既視感のような、そんな危ういバランスを創り出すのは、監督 押井守の、まさしく天賦の才のなせる技か。
でも、最近の作品はちょっと緊迫感が無いような。うむむ。

それって

「どうして薄皮の肉まんがないのかな」
ひよこ並みに薄いってことか?
「そうそう、凄い薄いの。見たことないだろ、誰も作ってないだろ」
うーん
「これは絶対売れるね」
それって、餃子って言わね?

Photo: 大阪城 2005. Osaka, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Tessar T* 2.8/45(MM), Kodak 400TX

Photo: "大阪城" 2005. Osaka, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Tessar T* 2.8/45(MM), Kodak 400TX

大阪城って行ったことないよな。そう思って、行ってみた。

薄曇りの蒸した日で、人影はまばらだ。天守閣の下はだだっ広い公園になっていて、ウォーキングの途中で一休みする人たちが多い。

お城は、びっくりするほど金ぴかで、「とらや」の紙袋みたいな虎の彫り物が貼り付けられている。もともと登ってみる気もなかったけれど、もう十分な気がした。


大阪に来ている、というメールを打って、ベンチに腰を下ろし、カメラも下ろす。

旅先で感じる、ここに人の生活があって、毎日が、ずっと流れているという感覚。自分の周りに流れる日常から抜け出て、違う流れに身を置くからこそ、 感じとれる力。僕はこの感覚が大好きで、なんてことのない旅先の街角で、この感じがふと体を駆け抜けると、つい嬉しくなってしまう。

そうやって自分の位置を確認して、また歩き出す。でも、いつか、どこか別の流れの中に行ってしまいたいと思うこともある。


メールが返ってくる。手の中にある、いつもの自分の場所。