New Orleans

会社に入ったばかりで、初めて海外出張した場所、ニューオリンズ。
温暖な気候と、Big easyと言われるおおらかな気質。ホテルの部屋で仕事をしていると、それはそれは陽気なハウスキーパー二人組がやってきて、
「swampは行ったか?」
とか、
「モールで何か買ったか?」
とか、
「プールはどうだ?」
とか、
「しまいには、ご両親はどうした?」
とか。
いやいや、確かにアジア系は年少に見えるけど。
電気の消えた暗闇の街を、ショットガンで武装した警官が緊張の面持ちで歩いていく。ハリケーンは南部のあののんびりした空気も壊してしまったのか。
あるいは、外の人間にはとても分からない緊張が、あの土地にはやはり潜在していたのか。

カメラのはじめ

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思えば、写真が趣味になったのには、2つの理由があった。インターネットが登場したことと、CONTAX T2に出会ったことだ。
初めての海外旅行にもっていくためになにげなく買った、T2。その当時、レンジファインダーと一眼レフの区別も付いていなかったのだが、出来上がってきた写真を見た時には本当に驚いた。この絵は凄いな、と。
特に、ベネツィアで撮った何枚かの写真は、まともなカメラで写真を撮るのはせいぜいフィルム5本目程度の自分が撮ったとは思えないものだった。もちろん、背景にはベネツィアという都市の力があるのだが、それにしても、こんなものができてくるという驚きが写真の魅力に「はまらせた」のだ。
今から考えてみれば、水の風景というのはZeissのレンズにとっては、ある種独壇場で、なんの期待もてらいもなく切ったシャッターは、2度と撮れないほど無心ではあったのだと思う。今でも、その写真はとても大事だ。
もう一方のインターネットがなければ、これほど写真を撮ることは確かに無かったとも思う。文章と写真を組み合わせるということを、1997年ぐらいからやってきたのだが、あまり物理的なものとしての写真に囚われたくない自分としては、それをネットの上だけで展開するというのは魅力的であった。事実、フィルムスキャナとデジカメを本格的に使うようになってから、撮影枚数は劇的に増えたにもかかわらず、プリンタを使った数枚のお試し印刷をのぞき、僕は1枚たりとも紙焼きをしていない。

GRデジタル版

KyoceraのCONTAX撤退で、行き場のないデジカメ物欲はどこにいくのか。と思っていたら、あの時代の代表的なハイエンドコンパクトカメラRICHO GRがデジタル版になって帰ってくるという。
しかも、そのデビューのさせ方がちょっと洒落ていて、まずはblogが立ち上がった。読んでみると、担当者の声そのままというか、「生」感覚が強いエントリーが多い。
こういう、「消毒されていない」メッセージを出すというのは、会社としてはリスキーで、なかなかやりにくいと思うのだが、その決断には拍手を送りたい。
Kyocera CONTAXが、ユーザーの声を無視する形で、MMマウントを捨て、Nマウントに無理に移行して全く支持を得られず、結果として撤退の憂き目をみたことを考えると、カメラのような感性とか嗜好とかに依存する製品は、こういうハイタッチなコミュニケーションでつくっていくのが、これからは正解のように思う。
今までにもblogを使った商品展開・企画はあったが、デジカメでしかもここまで(ある種の層には)有名な製品では初めての試みではないだろうか。普通の宣伝企画と違って、予定調和というわけには行かないから、担当の方は大変だと思うが、それだけにネット上での関心も高い。僕も思わず、RICHOで知っている方に「凄いことやってますね!」とメールしてしまったぐらいだ。
なお、製品の発表会は、抽選で一般の人間も行ける模様。一応申し込んでおいた。GかRが付いたカメラを持って行くべし、という条件が付いている。CANON G2か?CONTAX RXか?まあ、いろいろあるから問題ないけど。