落ち葉は、綺麗な宝物

Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Knodak DYNA 400, F.S.,

Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Knodak DYNA 400, F.S.,

忘れてしまっただろうか。落ち葉は、綺麗な宝物だったことを。

この時期、会社近くの公園を通ると、子供たちが落ち葉で遊んでいる。拾い集めたえりすぐりの落ち葉は、彼らにとっては、れっきとした戦利品だ。


みんな、必死になって戦利品をいっぱい集めている。でも、よくよく見てみよう。子供によって集める方向性が違う。

枚数で勝負するやつ、大物狙いのやつ、綺麗なのだけを狙うやつ。集めることは放棄して、投げつけ合ってるやつら。とにかく女の子に見せびらかせるやつと、それをあきれ顔でみる当の彼女。

多分、幼稚園のお散歩の一風景なのだろうけれど、そこには、なんとなく各々の将来を予感させる行動があって面白い。

僕は、どんな子供だったっけ。


注:羊ページは書くのが遅いので、ちょっと時期をはずしてしまいました。でも、これって去年載せ逃して1年お蔵入りになっていたものなので、あえて掲載。

僅かな日の光

Photo: 2001.

Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EL-2

綺麗な紅葉ではなかった。葉には虫喰の跡が残り、枝には蔦がからんでいる。

西日の当たる、うちすてられたような場所に、木は立っていた。木は動けないから、じっとそこに生えている。もし、木が動くことが出来たなら、都会の木はみんな逃げ出す。そんな話を、聞いたことがある。


新宿御苑にたどり着いたのは、日がおちかかる夕暮れ時。この季節、紅葉を求めてここを訪れる人間は3種類居る。家族連れ、カップル、カメラマン。

残された僅かな日の光に、ありとあらゆる種類のカメラをもった人びとが、わんさか群がっている。Canon, Nikon, Minolta, CONTAX, Leica, Hasseleblad, Rolleiflex、夕日を浴びる紅葉に、無数のレンズが向けられていた。


でも、僕が見つけたこの赤茶けた木は、なんだかまるで人気がない。誰も見向きもしない。そりゃ、あんまり綺麗じゃないし、隅っこにあるし。でも、なんとなく頑張っているように見えたので、僕はこいつを撮ることにした。

葉っぱは煤けていたけれど、よく見れば新芽のようなものがあった。色だって、よく見ればすてたもんじゃないよね。

traveling

Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Knodak DYNA 400, F.S.,

Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Knodak DYNA 400, F.S.,

「疲れたなぁ」

と思って見上げると、もう秋が終わろうとしていた。業界は、やたらと不景気で、それでも忙しい場所というのはあくまで忙しい。いろんな事を、実務的に片づけ続けたここ数週間。そういうリズムの中で、いろんな事にすれ違って、でも、心は気が付かない。


山積していた諸々に、ようやく片が付き、僕は久しぶりに休みをとった。電車にのって、街を出た。

ヘッドフォンから、宇多田ヒカルの「traveling」が流れてきた。いままでと、ちょっと感じが違う曲。リズムと、流れる街の灯りは、よく合っている感じがした。