北野武監督の「HANABI」を見た。さっぱりしていて、いい映画だった。
失っていくことを描いた映画だったけれど、綺麗だった。
(内容をばらされたくない人は、この下は読まないように。ただし、筋が分かっても、別にどうという映画ではないが。)
不治の病におかされた妻。主人公で、元刑事の男は、現行強盗をして奪った金で、妻と一緒に旅に出る。
二人の会話はほとんど無いが、必要としあい、信頼しあっている空気がちゃんと伝わってくる。男はタフだけれど、妻が死んだら生きてはいられない、ということが何となく分かってしまう。
映画の終盤、男は、車のサイドミラーに、追っ手であるかつての自分の部下の姿を認める。
懐の拳銃に 2発、弾丸を込めて男は歩み寄る。
「もう少し、待ってくれ」
浜辺で凧を揚げる少女を眺めながら、男と妻は寄り添う。妻は二言、「ありがとう、、、ごめんね。」と言った。
カメラは海を、映している。銃声は 2発。男と妻で 2人、追っ手の刑事も 2人。しかし、物語の結末はあえて映す必要もないのだろう。
この終わり方は、不思議と、悲しくない。