卒業式のシーズンだ。
卒業式と言えば、卒業祝い。
卒業祝いの使い道は、やはり衝動買いである。(僕は何も卒業しないが)
そういうわけで、ポータブルMDを衝動買いした。
僕は以前、友達に「まだ MD の時代は当分来ない」と言って、MD デッキの付いていないオーディオシステム(B&O の一番ローエンドのモデル。デザインが非常によいが、CD とテープデッキしかない。)を買わせた。まあ、それから 1年以上経っているのでそろそろいいだろう。
「時代は MD だ」。
さて、いくら衝動買いとはいっても、少しは考えて機種を選ぶことにした。MD の機種選びというのは、実はそんなに簡単ではない。
まず、充実した編集機能とか、そういうものは不要なので考慮からはずす。僕は、MD デッキを持っていないので、再生専用機も外す。そんなことよりも重要なことがある。それが、ATRAC だ。
MD は、音楽を約5分の1に圧縮することで、あのサイズのディスクに 74分間の録音を実現している。MD が採用している圧縮伸張方式は ATRAC (Adaptive TRansform Acoustic Coding) というものなのだが、実はこの方式がメーカーによって、そして、時期によって異なるのだ。
ATRAC にはいろいろな系統が存在し、しかも、それぞれが今までに何回かバージョンアップされている。(従って、MDは、発売当初に比べると格段に音質も上がって いるらしい。)このバージョンというのが、またくせ者だ。ATRAC の圧縮伸張アルゴリズムの実装は、メーカーに委ねられており、そのソフトウェアはメーカーが勝手に書いている。
MD の規格というのは、エンコーディングのアルゴリズムまでを厳密に規定しているのではないのだ。従って、メーカーによってATRACは異なっている。
だから、MD 同士で再生できない、ということはないものの、異なる ATRAC で録音された MD を再生した場合、コンバートが発生し音は悪くなる。また、同じメーカーの ATRAC で録音されていても、バージョンが異なれば、当然、同じような事が起こる。MDはややこしい機械なのだ。
そうはいっても、実は、ポータブル MD のユニットを作れるのは、Sony やシャープなどの限られた日本メーカーだけである。そのため、実際には店頭に出回っている MD の中身は、ほんの数種類だ。(だから、ほとんど似たような性能のポータブル MD が、各社から一斉に発売される)
で、店頭で見かける録音再生モデルの中身は、シャープ製が多いような気がする。(内蔵電池で 11.5時間再生、という機種は全てシャープ製だ)シャープの ATRAC は Sharp 6(24bit)と呼ばれるものが最新らしい。
で、僕は結局 KENWOOD にした。中身はシャープだ。Sony は、再生時間がたったの 4時間ということでダメ。型落ちの KENWOOD が1万円安く売られていたが、今使っているウォークマンと同じようなサイズなので却下。シャープ純正は、デザインが破滅的なためやはりダメ。
最後に、蒼い色がキレイだった KENWOOD の最新機種に決めた。
実際に MD を使ってみると、これはえらく便利だ。振動にも強いし、CD を落とすのも非常に楽。わりと気に入ってしまった。
値段もこなれてきたので、わりとお勧め出来る。