今年は、例年よりずっとはやく、東京に初めての雪が降った。
毎日、身を切るような寒さが、襲う。
僕が新宿駅から会社まで歩く間、道の両側にはホームレスが転がっている。
僕は彼らに同情は感じないが、寒さが厳しい今年の冬は、去年以上に命を落とすホームレスの数が増えるのではないかと思う。
自分のすぐ真横に、そうしたぎりぎりの世界があることが、ある種、不思議だ。
不況、とはいっても、個人個人の危機感にはバラ付きがある。
まさにホームレスになってしまう人もいれば、ほとんど影響を受けない人もいる。
街には、バブル時代の異常な浮かれかたこそないが、クリスマスも近くなり華やかなイルミネーションが施されている。そうした光景を目にして、
「どこが不況のどん底なんだ?」
と思うことはないだろうか。
世の中は不況だというけれど、日本全体が貧乏になっているような感じはしない。職を失い、路頭に迷う人もいる。しかし、そうでない人も確かにいる。
実は、この日本で、貧富の差が、広がりつつあるのではないだろうか。一億、総中流と言われた時代が、気がつかない間に終わっていたのではないだろうか。
僕は、もう「中流」なんてものは存在しない時代が始まりつつあると思っている。つまり、「平凡に生きていければいいや」と思っても、目指すべき「平凡」が無いような社会だ。上を目指してはい上がり続けるか、け落とされて地獄を見るか。そういう気の抜けない社会だ。
そうは思いませんか?