骨付き鳥

Photo: 坂出 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo: "坂出" 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

またやっちゃったか。

香川に来たのなら、骨付き鳥を食べないと、と勧められて、どうせなら「元祖の店」の「本店」に食べに行こうと決めた。


あらかじめ見ていた地図では、その店がある丸亀は隣町といったところで、電車でちょっと行ったところに思えたのだが、実際に電車に乗ってみると新宿?立川ぐらい離れてる。電車は一時間に 2本といったところで、なんやかんやで小一時間はかかろうという場所にある。


鳥を食べにそこまでいくとは、なんとも酔狂な話。でも、別に他にやることがあるわけでもない。酔客もまじった、それでも東京とくらべたらガラガラの通勤電車に乗って、西へ。途中で電車を乗り換える。待ち時間 15分、急いて何かが進むわけではない。

別に急ぐべき事は、何もないのだ。

一瞬の微睡み

Photo: 午睡 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo: "午睡" 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

その日は暑かった。

だから猫は、ひんやりしたコンクリートの木陰に、伸びている。

港の見える高台の、誰も来ない公園の木陰で、眠っている。


潮風の吹き抜けるこの街で、猫は生まれて、そうして育って、死んでいくのだろう。

午後の一瞬の微睡みのような、そんな瞬間を生きるのだろう。

若先生の住まい

Photo: 若先生の家 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo: "若先生の家" 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

小豆島。

映画村の外れにある、人気のない民家のセット。


若先生の住まいという設定のせいか、家具も少なく、畳はすり切れている。粗末なちゃぶ台に大きな酒徳利と、茶碗が一つ置かれている。

砂と塩でザラザラとする板の間に座り、窓の外の海を見る。


とても貧しくて、でも、シンプルで美しい生活。それはセットであって、フィクションであるのだけれど、どこかには有ったかもしれない。

誰かが来るまで、ずっと座っていた。