行くぞポチ

Pochi dog in Tainan.

Photo: “Pochi dog in Tainan.” 2015. Taipei, Taiwan, Richo GR.

「おう、行くぞ、ポチ」

台南にもポチは存在する。海外で柴犬を見ると、なんか頑張ってるなぁという感じがしてしまう。


そういえば、ふらっと入った鹿児島の市立美術館に渋谷のハチ公の原型の展示があって驚いた。初代ハチ公像は戦中の金属供出で溶かされてしまい、今のはオリジナルの作者である安藤照の息子 安藤士の手による、二代目なのだそうだ。

安藤士の代表的な作品っていうのは、東京タワーの下にある南極の犬がいっぱい居るアレ。犬に縁がある人なのか。かのメジャー待ち合わせスポットにはそんな歴史があって、なぜかその原型が鹿児島に置かれている。


そして、ここまで書いておいてなんだが、ハチ公は柴犬ではないんだそうだ。ハチ公は秋田犬、知らなかった。どこが違うのか、よく分からないのだが、大型犬が秋田犬で小型犬が柴犬であると。考えてみたことも無かったが、大きさ以外は見た目はそっくりじゃないのか。

そうしてみると、台南のポチ、うーん、君はやっぱり柴犬だな。

琉球

Photo: 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film

Photo: 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film

台湾の中正駐機場。僕らが乗るEG292の行先表示は「琉球」だった。

こういうのって、どうなんだろう?何かの意図があって、「琉球」と書いているのか。あるいは、これがごく普通の呼び方なのだろうか。


アジアの歴史(それは太平洋戦争よりもっと前からの話)は、とても複雑で、こんなふうにしれっと書かれている「琉球」という呼び方にも、もしかしたら、誰かの思いがあるのかもしれないと思った。(何もないのかもしれないが)

龍山寺

Photo: 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film

Photo: 1995. Taipei, Taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film

元日本軍属のたち。彼らに日本への憎しみはない。そして僕達は、彼らを知らない。


台北にある、龍山寺。ここには日がな一日、より集まる老人たちの一団がいる。彼らこそ、かつて「大日本帝国」の軍属として、日本の旗のもとに戦った 人たちだ。歴史というのは、教科書に書いてあるほど理路整然としたものではない。彼らの立場もまた、オフィシャルな歴史というものからは、語られることは ないのだろう。では、歴史とは誰がつくるものなのだ?

この写真を撮ってから、7年以上。事実も、記憶も、思いも、押し流し、年月は過ぎていく。