メニューにないカレー

Photo: 羊のカレー 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "羊のカレー" 2004. Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

無理を言って馴染みのビストロを貸し切ってパーティーをした。皆が引け、片付けがてら、カウンターで飲んでいると、シェフが

「良かったらカレー、持って帰ってくださいよ」

と言う。羊の挽肉で作ったカレーはえらくうまかったが、寸胴にまだたっぷり残っていた。あり合わせの瓶につめてもらって、持って帰る。もらったときは、正直腹一杯すぎでありがたみも薄かったが、翌朝温めて食べてみた。

これ、香りが良くて、すごい美味いな。挽いた羊でドライなカレーとか、ゴロゴロした羊肉のカレーとかはよく見るけど、羊挽で濃厚なカレーってあんまり無いんじゃないか。脚色なしで 2分で食べた。(別に普段早食いではない)


カウンターの向こうでカレーの瓶を煮沸しているシェフに

「これ明日になったら、もっと美味いですよね」

と言ったら、

「もう 3日目だから、全然だいじょぶですよ」

と返ってきた。普段のメニューにカレーなんて、もちろん無いお店。美味しくて嬉しい特別の味。

出稼ぎ中国

中国の綿花摘み出稼ぎのドキュメンタリーを見ている。
900両の出稼ぎ列車とか、嘘くさいぐらいの人の多さ。でも、そうだろうなぁと思う。うそくさいけど、あの国の光景って、こんな感じだった。
出稼ぎ先はウルムチなんだけど、モスクがたってたりして、これが社会主義国?っていう景色だ。
宿舎とかも、納屋を改造して鉄パイプと板でつくった三段ベッドでなんかめちゃくちゃ劣悪な条件。イメージ的にはもろに中国の奥地なんだけど、実は、そこに働きに来ている娘たちって、17ぐらいで自分の部屋とかもってて、割と近代的な生活をしてきた普通の若い人。(多分、漢民族)ジーンズ履いてるし。
で、3,000km列車で移動して綿花畑に連れてこられる。そのギャップ、国内に外国があるって感じかも。飯とかも貧相(3元/日)で、昼メシは蒸しパン、多分すごいまずい。彼女たちも「食いたくない」って言ってる。綿花積みの賃金は、一日40Kg摘んで300円ぐらい。恐ろしく安い。
そういうもろもろが、経済の世界で言うと、「競争力」になるわけか。
あと、謎が解けたんだけど、あの国でみんながしょっていた怪しい荷物袋は、使い終わった肥料袋のリサイクルだってこと。

あのおじさんの一家

プーケットのラグーン地帯は、タイ国内有数のリゾート地で、ペペロンチーノに入ってくる唐辛子がシシトウぐらいでかいことを除けば(タイでそんなメニューを頼む方が悪い)、とても素晴らしい場所だった。


ホテル中に巡らされた水路のようなプールで、ぬるーく数日を過ごしているうちに、園丁のおじさんと仲良くなった。言葉がさっぱり通じなかったし、ず いぶん前のことだから、どんな話をしたのかはもう忘れてしまった。でも、小さな娘さんがいて、彼女のためにサンダルをあげたら、とても喜んでいた。そんな ところだけ、覚えている。

ネットではテレビで流れているよりも、数段酷い被災地の写真が流れている。潮だまりのようになったところに、無数の遺体が流れよって、それが海岸線 一杯に続いた写真もあった。ほぼ海抜 0メートルのあのあたりは、今回の津波で披害を受けたのではないかと思う。あのおじさんの一家、無事かなぁ。