テレビは貧者の王様

Photo: テレビ 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "テレビ" 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

僕は平日はほとんどテレビを付けない。地上波はもっと見ない。いくつかの番組は(特攻野郎Aチームとか、、)、RD-X5 が勝手に見ておいてくれるので、週末に気が向いたら見るし、撮るだけ撮って削除してしまうこともある。何で見ないか?というとそこにはもう面白いものはあまりないし、新しいものも無いからだ。テレビは、もう先端じゃないのだ。

テレビの現状、ということについて、最近読んだ大橋巨泉のインタビューが面白かった。最近の視聴率低迷、テレビ離れという状況を評して、「勝ち組とか金持ちとかインテリがテレビを見なくなっただけ」で、「テレビは今に「貧困層の王様」になるはず」だと彼は言う。


業界の人間は、皆分かっていても、怖くて言えなかった真実だと思う。実際、今の日本の地上波テレビというのは、最も安価で安易な娯楽である。テレビは貧者のベビーシッターであり、老人介護マシンであり、話し相手だ。

作り手の「志」、あるいは、視聴者の「民度」による番組品質の向上あるいは低下という議論は別にして、テレビの主要な収入源である広告、それを支えるスポンサー、その商品を買う視聴者、という図式で考えると、視聴者が貧困層中心になるということは、そこから期待される購買力は下がり、結果として広告料は下がり、制作費は下がり、番組の程度は落ちる、ということが容易に想像される。

テレビの歴史は、金持ちしか買えない憧れのテレビ→皆が見るメディアの王様としてのテレビ→低所得者層の安価な娯楽としてのテレビ、という変遷をたどる。テレビは今や最後のステップに入りつつあり、メディアの王様でもなんでもない、one ofのメディアでしかない。歴史の流れは止まらないのであって、「底流」のための娯楽として、更に程度を落としていくことは間違いないのだろう。

日経ビジネス EXPRESS : 【大橋巨泉氏】
http://nb.nikkeibp.co.jp/free/tvwars/interview/20060127005218.shtml

“テレビは貧者の王様” への2件の返信

  1. 変遷はどこにでもあるもので、
    いまやインターネットだって
    国家プロジェクト→一部研究者のツール→みんなが使うインフラ
    まではきましたよね。
    これが別の技術が出てくれば取って代わられることになるんでしょうな。
    それがなにか想像もつきませんが、想像がついた人が次の時代の金持ちですわ、きっと。
    品質云々の話で言えば、
    CSの登場で番組の目的が細分化専門化されて、もはや地上波民放に求めるものは俺にはなくなっていますね。
    と、登録後初投稿で長文投げてみるテスト

  2. コンピュータはメタメディアで、それをあまねくつなぐのがネットだとすると、もうメディアというもの自体が、「行き着いた」のではないかとちょっと思っています。少なくとも、インフラの投資という意味では、いきついたなぁと。
    もちろん、まだインフラが整っただけなので、末端ではまだ色々とやる余地はあって、むしろ、お金をちゃんと取る時代がこれからやっとくるのでしょうけど。
    じゃあ、メディアの次は何かって言えば、ライブであり体験かなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です