Carl Zeiss Biogon T* 28mm/F2.8(ZM)

Photo:2006. Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo:2006. Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Zeiss Ikon 標準ファインダーでサポートされる、最も広角のBiogon 28mm/F2.8。6群8枚のコンパクトなレンズ。

モノクロで撮ったときの、コントラストの描写は驚くほど鋭い。暈けは繊細、エッジの立ち方はハッとするような鋭さ。

反面、カラーポジ・ネガで撮ると、なんというか薄味の描写が、個人的には物足りなく感じる。少し遠くに写るような、そんな感じがする。

いずれにしても、とても個性のあるレンズ。zeiss ikon の肩に力の入らない操作感と、きりっとした描写のコントラストが面白い。自分が思ってもいなかったものを受け取れる、そういう飛躍があるという意味では、 MM の Planar 85/1.4 に並んで僕の好きなレンズだ。

Zeiss Ikon (Black) が来た。

Photo: 街路 2005. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "zeissikon" 2006. Tokyo, Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

CONTAX 販売完了以来、もうフィルムカメラを買うことはないだろうと思っていたのではあったが、また買ってしまった。しかも、時代に逆行するMF一眼レフから、さらに退行して手動巻の MF レンジファインダー。


とか書いてみたが、買えない売ってないという噂の zeiss ikon black を入手できて、実はかなり嬉しい。予約したのが一月の頭で、待つこと一ヶ月、思ったよりも早くやってきた。フィルムカメラからの撤退を表明するメーカーが増える昨今、デジカメでも、オートフォーカスでもない、アナクロカメラの zeiss ikon は生産が追いつかない状況なのである。いったいどれぐらいの生産能力があるのか知らないけれど、こういったものが欲しいという層は確かに居るようだ。

以下、zeiss ikonのユーザーレビューはまだあまり無いみたいなので、少し細かく書いていく。興味の無い人には、つらいと思いますけど、、。


買ったのは zeiss ikon のブラックペイント(シルバーもペイントなのだそうだが)、biogon T* 28/2.8 に、レンズシェードと、UVフ ィルタ。これに、zeiss 純正のレンズクリーニングキットをおまけで付けてくれた。普通に定価売りのところもあるが、横浜某所では「おおっ!」という値引きをしていただいた。なんかマニアックで怖そうな店構え(失礼!)だったのだが、値段もサービスも文句なし、感謝。

で、まだ撮影もなにも出来ていないので、(デジカメなら即レビューなんでしょうけど、そのアナクロ感が良いでしょ)写真以外の感想を書いておく。

まず箱。CONTAX T2 は宝石箱みたいな豪華なパッケージに入っていたが、それは遙か昔の事。化粧箱に発泡スチロールで、ごくごく簡素な普通のパッケージング。パッケージは白地に、zeiss のロゴが入ったもので、すっきりしている。本体にもレンズにも直筆の検査証が入ってきたのは感心した。

本体。シルバーに比べて、引き締まって一回り小さく感じる。自分の好みでは、やっぱり黒。実機を見ないで予約したが、やはり正解だった。表面はマット仕上げではなくて、少しグロス気味。いろいろなところで言われている、塗装のムラはあまり気にならない、というか何で文句が出るのかよく分からない。別に塗装で写真を撮る訳じゃないしね。ボディを手に持った感触はかなりしっかりしている。僕はこのサイズのカメラを使うのは初めてだが、「撮る」という動作においては、大きからず小さからずの丁度良い大きさのように思う。(それが、あえて、レンジファインダーを追加で買った理由でもある)あと、ボディ上の文字類は印刷じゃなくてちゃんと刻印+塗装。

次に撮影に関する部分。ファインダーはとても明るく文句無い。レンズが 28mm だと、アイポイントがかなり低くなるが、それは一眼レフと比べるからだろう。(レンジファインダーって、そういう事は気にしないのかな)シャッター音、感触は思った以上に良い。価格を考えると、ここは良くできている、という印象だ。ISO 設定、シャッター速度設定、AE 設定、露出補正のインターフェイスは直感的に1つのダイアルにまとめられていて BESSA と同じ。EV±2 の範囲で AE の目盛が切ってあり、それ以外がマニュアル設定のシャッター速度になっている。

結論として、ボディの定価153,000 をどう考えるかだが、個人的には十分リーズナブルな価格設定だと思う。見た目、ライカのような威圧感はなく、かといって、没個性でもない、主張のあるデザインだ。機能性は現代的であり、飾りではなくて道具として使える。


レンズ。これはまだ撮っていないので、なんとも評価しようがない。biogon T* 28/2.8 は標準のファインダーで使えて、大きさのバランスも本体と丁度良い。付けた感じは、一番見栄えがするレンズかもしれない。レンズシェードを付けると結構インパクトが出てしまうので、個人的にはあまり付けたくないか。(買ったのにね)なお、スペックシートに出ていなかったような気がするが、絞り羽は 10枚となっている。

最後に、匂い。(なんだそれ)明らかに、CONTAX と違う匂いがします。zeiss だけど、CONTAX とは違うカメラなんだなぁ、という気になります。

Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(MM)

Photo:2001. Tokyo, Japan, CONTAX RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Knodak

Photo:2001. Tokyo, Japan, CONTAX RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Knodak

Yashica/CONTAX MM マウントの中で、最も有名な単焦点レンズ、Planar 85mm/F1.4。5群6枚のレンズが、みっしり詰まった 595g には、妙なお買い得感がある。

ピントは薄く、視力が良くないときちんとフォーカスさせるのは、難しい。2m先の人間を撮影するとして、絞り解放 (f1.4) では、体感で 2センチ程度の写界深度しかない。で、その難しさの見返りが、素晴らしい発色と暈け。オイルを流したような、艶のある暈けは、普通のレンズと全く次元が違 う。

個人的には、最も使い勝手が良く、最も多用しているレンズ。85mm の寄りすぎない、離れすぎない、独特の視点は、丁度文章で何かを切り取る時の呼吸に似ている。解放近くでの美しい暈けは、主題にスポットライトを当て、カ ラレーションの強い色味と合わさって、自分だけの表現を生む。