台湾名物

Taipei in the dusk

Photo: “Taipei in the dusk” 2014. Taipei, Taiwan, Richo GR.

空港からホテルに着いて、言われるがままにタクシーに詰め込まれて、気がついたらかき氷屋の前。

前回台湾に来たときに、恐らくは水道水で薄められたタピオカティーでマーライオン並みの嘔吐を経験して以来、生水生氷の類は口にすまいと思ったのだが。


台湾名物マンゴーかき氷。更なるリスク上積みでミルク氷も選べるようだが、それはしない。なんか、洗面器みたいな器に入ってきた。冷凍物を使わないというポリシーのマンゴーは、確かに新鮮なマンゴーであるが、別に氷と一緒じゃ無くてマンゴーだけ食えば良くないか?というのは言わないでおく。

いくら名物のかき氷と言ったって、こんなに量が食えるかクソボケと、思いつつも何んとか食べ終えて街に出ると、さっきまで、焼けるような蒸し暑さだった街路が、なんのことはない、風の爽やかな普通の夕暮れ手前になっていた。

氷の力は凄いのだ。

足許を見る

Tokyo Tower

Photo: “Tokyo Tower” 2013. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S.

今日は疲れたなぁと思って、東京タワーを見上げて、そうして足許を見る。新しい靴は、まだあまり馴染んでいないので、少しきつく感じる。

ちょっといつもとデザインが違うやつなんだけど、それはそれで馴染んでいるよな。。ん。んん?なんか左右でデザインが違わないか?疲れてるのか。いや、間違いなく、違う。型番がちょっと違う。

靴を磨いたはずだけど、気がつかなかったけど、これ右と左で違う靴だよ!


人間て、日ごろいかに何も見ていないか、あるいは、自分がちゃんと見ていないか。無頓着にも程があると言うことか、あるいは、靴は同じハズという確信が、同じ靴に見せていたのか。それにしても、左右で違う靴を履いて歩き回っていたとは。

買ってから暫くほったらかしてあったので、レシートもとって無いしなぁと思ったが、店にまだ左右違いが残っているなら、買い取れば2足とも履けるようになるじゃん!名案!と思って靴屋に電話したらちゃんととってあった。

買い取るとは言ってみたものの、大変恐縮されて無償でお持ち下さいとの事。いつも同じ店で買うメリットって、こういう所にあるのか。

こうして晴れて、一度別れた左右の靴は、週明けにでも、再びまみえることができるだろう。

ささいな瞬間

Old Tavern

Photo: “Old Tavern” 2012. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S.

人は、ささいな瞬間の、ささいな言葉を覚えているものだ。

「最近、ギョウザを胡椒で食べるのがいいんだよー」

そこまで言うならやってみようか、と、S&Bのテーブル胡椒を醤油に溶いた。

まだ寒さの厳しい 1月、すきま風の吹き込む古い店内は、平日の5時をまわったばかりだったが、客でだいぶ混み合っていた。石油ストーブでどうにか温められたテーブルで、瓶ビールとシウマイ、ギョウザなんかをとって、3人で食べた。


その店はもう、すっかり建て替えられてしまって、その日の面影は無く、そして胡椒の話をしていた人もこの世には居ない。

喪失感は、そういう所からやってくるのだな。