10年

Photo: こってりパイ 2008. Tokyo, Sony Ericsson re.

Photo: “こってりパイ” 2008. Tokyo, Sony Ericsson re.

久しぶりにあった仲間達は、なぜだかことごとく(僕も含めてだが)体重を落としていた。一人はサーフィン、一人は走って(僕だ)、一人はプロジェクトやつれ。それぞれの大人の事情なり、日々の思いなりは、それぞれの体型に、微妙な影響を与えているようだった。

それでも、出会ったときから大食いのサーファーは、僕が集合に遅れた15分の間に、既にバターまみれのジャーマンポテト一皿(けっこうなカロリーだ)を平らげていたし、「俺、酒が入ると食べられなくなるんだ」が口癖のもう 一人は、やっぱり皿の上に冷めきったパイの一切れを置いたまま、延々と煙草を吸っていた。


そうして、考えてみれば、初めての給料で、初めて飲んだ三人が、10年を超えて同じように飲んでいるのだ。話題の内容は、いささか大人びた(メンバーの中には、二児の父もいる)のかもしれないが、そこにある実直さというか、ナイーブさ、みたいなものは、あまり変わっていない。もちろん、それぞれの日々の中では、もっと大人なことをしたり、言ったりしているのだと思う。で も、ある時を共有した友達との間には、そういう琥珀に固めたような空気が、やはりあるのだと思う。

ラストオーダーからだいぶ時間が経って、周囲の客が引けるのと共に、店を出た。そうして、多分、10年後も同じように飲んでいることを、あまり疑うことは無く、手を振って別れた。

某月某日

考え込んだ月。

スカイ・クロラ

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I.G.づいているので、スカイ・クロラも観てみた。新宿某所の前回と同じ映画館の最終。結構空いているし(それでは困るわけだが)、椅子もいいし。この日は、売店の人の生ビールのつぎ方がちょっと無いぐらいうまかった。
正直、まったく期待していなかった。が、名作だと思った。それが、スカイ・クロラへの感想。
確かに、押井映画ではある。犬も、トラムも、アンバーのCGIも、出てくる。宮崎映画に対抗したような、凝った空戦シーンがこれでもかと出てくる。でも、趣味の映画に終わってはいない。脚本がセカチューの人だったり、俳優・女優が声を当てていたり、ちょっといつもと違う。水と油の要素が、沢山投入されている。
そういう違う方向へのベクトルがうまく働いて、引っ張り合って、なんか広がっている気がする。結果としてとてもバランスの良い映画になっている。2時間を超える映画で、長いな、と思うのだが、台詞やカットに無駄はない。(最後のカットはいらないと思うが、、)
商業的にどうか?というと、これはちょっと難しいかなとは思うし、あのCM を見て、本当に映画館に足を運びたくなるのかは疑問だ(僕はならなかったと思う)。でも、もうちょっと評価されても良い映画なんじゃないかと思うのだ。あのキャラクターの顔が嫌い、っていう人がおおいけど、すぐ慣れるよ。
追伸:雲の描写が良くできてる。それを見に行くのでもいいと思う。