朝。
ゴミを出しに外に出ると、蝉が飛んできて、そうして、ギャッと地面に落ちて死んだ。
やれやれ、朝から蝉が死んだ。
何日かして、動かなくなった蝉を抱き起こすように、鮮やかな緑色のカナブンがひっついていた。ダイジョウブ?と寄り添っているようにも見えたし、じっと死を待っているようにも見えた。お前も、そこで死ぬのか?
でも、気がつくと、カナブンはいなくなっていた。蝉だけがずっと転がっていた。
台風が来て、酷い風が吹いて、蝉の体はどこかに行ってしまった。と、思ったら、玄関のドアの横に吹き寄せられていた。困る。
そのままにしておくのは忍びなく、でも、葬るにふさわしい場所もなく、その体を燃えるゴミに出してしまう。都会のど真ん中で死んでしまった蝉。それはそれで、相応しいんじゃないか。蝉も、それで良いと言っているような気がした。