昼寝日和。
たくさん夢をみた。夢を見て、見たそばから忘れた。
写真と紀行文
昼寝日和。
たくさん夢をみた。夢を見て、見たそばから忘れた。
戦意高揚映画の体裁をとっているつもり(それっぽい字幕が入る)だそうだが、普通に反戦映画。
ナレーションは無くて、現場の音声だけが入る。
前線の司令部の様子を fix で 10分撮ったシーン。兵士から淡々と報告があり、指揮官が淡々と指示を出す。そこに興奮はなくて、緊張感の漂う、努めて冷静な現場。でも、弾丸にあたった兵隊が運ばれてくる。日本人が闘っている。リアルに日本人が戦争をしていることが、とても伝わってくる。
シーンは変わって、なんか朝礼みたいに見える。長屋の軒先みたいなところでやってる。
「あ?、またやってんの?」みたいな感じで、現地のおばちゃんが見切れている。
なんだろう、テイストとしては、ナレーションの無い、「日本紀行」みたいな感じ。でも、戦争をしてる。何でも日常になって、なんでも人生になる。レンズは、その日常と人生から距離を置いて、あくまで冷徹にそれらをフィルムに焼き付ける。その距離が、美しさ、さえ感じさせる映像をつくる。でも、それは残酷でもある。
伝わってくるリアリティーと、怖さみたいなのをどう言ったらいいだろう。例えば、映画とかドラマの爆発シーンて油が燃えるような派手な炎が上がるけど、実際の爆発って、粉っぽい埃みたいな煙が一瞬にして上がって衝撃波で周りが震える。ホンモノの方がよほど地味なんだけど、重くて怖い。
「瀬戸内の日没はとても美しいので、ぜひ見て下さい」と勧められた。
夕方、小豆島からの帰りの船上から日の入りを見ようと思ったが、少し早めに港に着いてしまった。カメラを担いで、埠頭の先まで歩く。夕日に誘われる ように、人影がぽつりぽつりと見える。夕涼みがてら、階段に独り座る人。あるいは、友達と釣り糸を垂れながら海を見ている人達。
瀬戸内の波は低い。いつも凪のような、静かな水面が広がっている。空気が冷えて水蒸気が減ったのか、ぼんやりとかかった霞は消えていた。
大きな鯖、だろうか、固くこわばった魚の死体が、水面を流れていく。破れた帆のように、胸びれをつきだして、無様に、でも静かに。夕日の中を、こわばって、もう動かない。
明かりが落ちて、夜の冷たい風が吹き抜けると、鏡のような水面に少し波が戻ってきた。