北海道からの出張帰り、どっと疲れてバスの座席に座り込む。仕事はほとんど徹夜で、体中に嫌な疲れが残っている。東京の寒さのほうが、札幌よりもいやらしい。
バックパックを脇に置こうとして、お土産を入れたビニール袋の中身を、わらわら落としてしまった。通路に散らばる、六花亭のチョコレートやら、ご当地キティのストラップやら。
ついてない。情けない気分で、身を乗り出した時。
丁度バスに乗り込んで来た女性が、間抜けに転がったお土産達を、かがみ込んで拾い集めてくれた。
「あ、、ありがとう、ございます。すみません、、。」
僕は一瞬茫然とし、そしてオレンジ色に染めたベリーショートの後姿に声をかけた。
「いえ」
小さな返事が聞こえた。
24時間ぶりに眺める東京の街は、少し明るく見えて、「親切」ってコトバを思い出した。