すごくややこしい

Old town

Photo: “Old town” 2011. Seoul, South Korea, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

別に行くつもりは無かったのだが、博物館を出てうろうろしていたら、北村韓屋村に迷い込んでいた。

ドラマのロケで使われるような、張りぼての歴史建築が立ち並ぶ。正直、なんの感動も無い。資本の臭いだけがする。さっさと路地に入ろう。

張りぼての裏側には、普通に日常生活の世界がある。クリーニングを配達にいくオジサン。電信柱の林。和洋折衷というか韓洋折衷の80年代みたいな住宅デザイン。子供の頃の近所の町並みに、もう一度戻ったような、奇妙な懐かしさと違和感。


愛憎渦巻く韓国と日本文化との関係。初めて韓国に出張したときには、日本車そっくりの車が、ややノスタルジックな町並みに溢れるが、実は日本車はただの一台も居ないというシュールな光景が印象的だった。それでも近年は日本車も増えたと聞く。

日本マイナス20年みたいな、そういう感じが、やっぱりここには有った。凄く似ているけど、全然違う。決定的に違うけど、なんか似ている。すごくややこしい関係が、有る気がする。

蝶ふわり

Marble

Photo: “Marble on the marble” 2013. Agra, India, Apple iPhone 4S.

蝶ふわり

大理石の日だまりに蝶がふわり。

カタツムリ氏

Snail?

Photo: “Snail?” 2012. Ho Chi Minh City, Vietnam, Apple iPhone 4S.

「カラカラカラ」

「あなた、、でかいですね」

「話しかけんなよ」

「ホーチミンシティーのど真ん中で、バス停の壁にひっついてるわけですが、、カタツムリかなんかですか?」

「うるさいよ、名前あるけど、ベトナム語だしお前には分かんないだろ」

「5センチぐらいありますよね、この大きさ普通ですか?」

「普通だよ。雨降るまでほっとけよ。今顔出したら、危ないんだよ。」

「確かに、、あなたを撮っていたら、むしろ僕の方が好奇な目で見られました」

「カラカラ。。」


鮮やかな黄色に映える謎の巻貝氏は、雨が降るまでは忍耐の作戦だろうか。この後、信じられないようなスコールがやってくる事を、僕はまだ知らなかった。その豪雨は、タイとかマレーシアとか、そんな国で体験したスコールとは、また桁違いの凄いヤツだ。

街が水飛沫に飲まれる頃、カタツムリ氏は息を吹き返して、悠々と這い出すのだろう。実に、あの豪雨でも大丈夫そうな大きさだった。