旅&食の記事一覧(全 233件)

「散歩のとき 何か食べたくなって」

Photo: 2003. 小鰭と鯛の握り Tsukiji, Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105, JPEG.
Photo: 2003. “小鰭と鯛の握り” Tsukiji, Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105, JPEG.

美味しいものについて書かれた、ちょっと昔の本というのは面白い。今の、商業主義にどっぷりひたった、世知辛いグルメ本みたいなものと違う、もっとマニアックで、好きでやってるぞみたいな、そういう感じ。


たとえば、池波正太郎の「散歩のとき 何か食べたくなって」は良い。

池波が若い時分から親しんだ、日本各地の食べ物について、実に楽しそうに書いてある。作者に失礼な気もしてしまって、ここに書いてある店にどんどん 行こうという気分にはならないが、(値段もあまり安い店ではないし、代替りもしているし、、)池波のリズムの良い食物談義は、読んでいるだけで十分楽しい。ちょっと気取って、ふらふら一人でどっか新しい店を開拓に行ってみたくなる。


それにこの本、巻頭についている料理の写真がなんとも格好良い。京都松鮨の川千鳥、みの家の桜鍋、村上開新堂の好事福廬。正確無比な写真というわけではないのだけれど、70年代の色合いというか、その時代の雑踏みたいなものが、そこにはある。

もうちょっと日本が若かった時代の、そういう空気の漂う写真。自分の記憶にあるわけがないのだけれど、最近、そういうものが妙に懐かしく感じる。

注:「散歩のとき 何か食べたくなって」, 池波正太郎, 新潮社, 1981.

夏の朝

Photo: 夏の朝 2003. Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.
Photo: "夏の朝" 2003. Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

深夜。店はそれほど混んでいなかったから、いつもの一番奥のカウンター席を用意してくれた。もう、食べた後だったからガルフ・ストリームから頼むことにした。


今日は一人の客が多かった。皆がかってに、面白かった映画の話をして、わいわい騒いでいる。
「ラップは嫌いだけど、8 Mile は面白かったよ」

実際面白かった、Brittany Murphy も可愛かった。期待しないで観たのだけれど、テンションが高くて、絵も綺麗だった。


店長がカウンターの隅で煙草をふかしている。

「なんで皆バーに行くんだろう?」
「面倒くさい付き合いはしたくない、でも寂しい。だからこういうお店で、たまたま会った人と話をして、、その場が楽しかったらそれでいい、みたいな」
「、、ん、、」
「寂しいことかもしれないけど、そういう時代になったんだと思う。バーもだんだん変わっていくんですよ」


外に出ると、すっかり夏の朝だ。店長が店の外まで送ってくれた。

それほど酔っていなかった。街は寝ていて、空気はまだ新鮮だった。

プレミアムマック

Photo: マナルのトレー 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.
Photo: “マナルのトレー” 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

プレミアムマックを食べてみようと思って、マナルに入ったら、普通に終わってた。レギュラーメニューじゃなかったのか。

仕方ないので、ビッグマックを食べる。セットで頼んだら、
「サイドディッシュは何になさいますか?」と来た。お前の店は、いつからそんなもんを出すようになったんだ。普通に、イモをつけておけ、イモを。


食べ始めて、全然腹なんかへってなかったことを思い出す。

それにしても、うまくない。まずくはないが、ぜんぜんうまくない。


注:マナル、日本マクドナルドに関し、関東のマックと関西のマクドという略称論争に終止符を打つ最終回答。