Kyocera CONTAX T2, Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/38

Photo: contax T2 2001. Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D(IF), Fuji-film.

Photo: "contax T2" 2001. Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D(IF), Fuji-film.

1984年に発売され、ハイエンドコンパクトカメラという新しいジャンルを開拓し、一部に絶大な人気を誇った CONTAX T。その後継機として、1990年に発売されたのが CONTAX T2だ。そのシンプルで美しいデザインと機能のバランスで、ハイエンドコンパクトカメラを広く普及させるきっかけとなった。小さな外見とは裏腹に、手に持つ と、カッチリした精密機器の手応えがある。

T2は、僕がカメラと出会うきっかけとなった機種だ。初めての海外旅行に、「写ルンです」を持って行くわけにもいくまいと、新宿のさくらやで買った。カメラの ことは何にも知らなかったのだが、店頭で初めて見て、その美しいフォルムとキレの良いシャッター音に惹かれたのだ。(えらく高かったから、凄く迷ったのだ けれど、その日のうちに買ってしまった)

T2は、CONTAX Tで当時の技術的限界から見送られたチタンを、ボディー素材として採用。極めてフラットなデザインに、Tシリーズのアイデンティティーと言える「Tカット」が施している。ボディーの金属には十分な剛性と厚みがあり、持っていて頼もしい。(戦場で、弾丸からカメラマンを守った逸話もある程だ)滑らかな 多結晶サファイア製のシャッターボタンは、購入してもう 10年近くになろうとする現在でも、その滑らかさを失っていない。

直感的なダイアルオペレーションのMF機構と露出補正、小さなレンズに内蔵した絞りリングなど、コンパクトカメラの操作系としては完成の域に達している。レリーズタイムラグも少なく、シャッ ター音はGシリーズに近い歯切れの良い金属的な音。(決して、大きな音ということではない)ただし、オートフォーカスには癖があり(全然ダメだという人もいる)、 ファインダーの表示と実際にフォーカスされる側遠ポイントにずれがある。このため、使いこなすにはちょっとしたコツがいるし、ピンぼけしてしまうケースも 多い。道具としての性能ならT3が上、ただ、存在感ではT2に軍配が上がる。


Photo: Venice 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/38, Agfa

Photo: "Venice" 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/38, Agfa

T2が装備する、Carl Zeissの小さな Sonnar T 2.8/38は、時々、驚くほどキレイな光を捕まえてくる。半面、「あたりだ」という絵をとるのが、なかなか難しいレンズでもある。T2の後継として発売されたT3 の Sonnar T 2.8/35はよりアベレージで優秀なレンズだが、当たり外れの激しい T2のSonnar T* 2.8/38の方を好む、という人は今でも多い。周辺光量落ちがやや強いものの、SLRの妥協品としてのコンパクトではなく、あえてTで撮りたい、と思わせるレンズ。このT2のSonnarでしか撮れない絵というのが、確かにある。

T2の一番の特徴は、一見しては全く目立たないこと。小さくて見た目が控えめなので、撮られる人が身構えないし、割とシャッターを切りにくい状況でもサッと出して撮ることができる。外国の地下鉄、立ち入り禁止の鉄条網の内側等、いかにも危なげな状況で威力を発揮してきた。シンプルで直感的なオペレーションと、 金属ボディーの信頼感、そして特徴あるSonnar。現代でも十分通用する、手に馴染む道具としての魅力を持ったカメラだ。

Nikon F100

Photo: Nikon F100 and Peace Lights, Copyright(C) 2000 Site503.

Photo: Nikon F100 and Peace Lights, Copyright(C) 2000 Site503.

Nikon F100(1998年発売)は、Nikon AF 一眼レフのフラグシップ・モデル F5 を基に、マグネシウム・ダイキャストで軽量化を図ったもの。手軽に使えて、しかもホンモノという、絶妙なラインの製品だ。F5 に比べると、握った感じ一回り小さいので、女性にも扱いやすい。(僕は手が小さいから、F100 が丁度よい)また、F5 と同じくプレビュー機能を備えているのも、大きなポイントだ。

5年以上 T2 を使い続けて、そろそろ一眼レフを買おう、と決心。店頭で、機種やメーカー名を見ないで、片っ端から使ってみて、選んだのがこの F100。しっとりしたグリップ感と、シャッター音の小気味よさ。結局、カメラは道具。道具としての魅力がなければ、いくら性能が良くても、意味がない。

ボディーのがっしり感、ミラーショックの少なさ、見やすいファインダーなど、機械としての優秀さは、Nikon ならでは。精度の高い分割測光による、AE はかなり優秀で、現代の電子制御カメラとして、良くできている。トータルで見て、撮影者の期待を裏切らない、極めて正確で厳密なカメラ。見たままを撮ると いう意味での能力と、ムラのない撮影結果には文句の付けようがない。趣味的にカメラ自体を楽しむというよりは、きちんと写真を写すための道具としての色が 濃い。

最後に、いまいちな点を。ダイヤルとスイッチを組み合わせる独特のオペレーションは、複雑で慣れが必要。その組み合わせ方法も直感的とは言いがた い。こうした機能の複雑化と、操作体系の混乱・悪化は、最近のカメラに共通の問題。操作しきれない分量の機能は、本来必要ないと思う。なお、上位機種であ る F5 に比べての最大の相違点は、ファインダー視野率が 96% である点。これは、個人的にはほとんど気にならない。

注:羊ページ管理者のF100とピースライト。なお、管理者がピースライトを吸って いるわけではない。

Canon PowerShot G1, 7-21(34-102)/2.0-2.5

Photo: Canon Power Shot G2

Photo: Canon Power Shot G1

よくよく考えてみると、僕はスタパ斉藤が「これはイイ!」といったものをかなりの確率で買っているような気がする。(別に、丸飲みで信じている とかではなくて、ネタとして面白いということで)

この PowerShot G1 もまた、そんな一台だ。ヨドバシカメラのアウトレットコーナーで、新品が 6割引の 44,000円なり。デジカメはいらない、と思っていたものの、この圧倒的なお買い得感には逆らえなかった。スタパ斉藤絶賛のあのデジカメが、6割引。と いうことで、使い道も考えず、根拠もなく買ってしまったのがこの G1。

Canon G1 は PowerShot シリーズのフラグシップモデルで、現在は、G3 まで発売されているレンジファインダー(?)機の定番ハイエンドだ。絵も操作性も、よく出来ている。さすが、キヤノンのフラグシップ商品。絵は、色調の豊 かさと、ノイズの少なさは特筆すべきものがあり、現行のデジタルカメラと比べても遜色ない。なお、記録メディアは、マイクロドライブも使える CF なので ThikPad など CF スロットを持つユーザーにとっては、便利だ。

そして、G1 の数ある機能の中でももっとも重要なのが、自由に角度を変えられるバリアングル液晶。明度・解像度も問題なく(ちょっと発熱が高い)、そして撮影ポジショ ンを自由に選べる画期的な機構だ。この機構のおかげで、一眼レフでも、レンジファインダーでもない、新しいカメラの使い方ができる。

最後に、いまいちな点。レンズキャップを自分で付けはずししなければいけない点、起動時間の長さ、マクロ撮影時の AF の弱さ、MF の使いにくさは要改良点だ。(最新機種では直っていると思うけどね)


Photo: Shibuya Canon Power Shot G1

Photo: "Shibuya" Canon Power Shot G1

7群8枚の 7-21(34-102)/2.0-2.5 と、3.3M CCDがつくる絵はノイズが少なく、色ノリも良い。デジタルカメラの画像としては、そのバランスのよさと、キヤノンぽさに感服する。また、見た目にもきっちりしたレンズは、なんとなく安心感があってよい。センサー系はかなり良く出来ていて、ほとんどの場合オートで撮って問題ない。たいていの光線条件で自然なホワイトバランスを実現する。

特に、暗闇での撮影では、銀塩に比べてとても使い勝手が高い。ただし、(普通のフラッシュ一体型カメラがそうであるように)フラッシュはおまけみたいなものであり、フラッシュ禁止をデフォルト設定できない点は、少し困る。

キヤノンの絵が好きな人にはたまらない絵作り(推測)だと思うが、別にキヤノンの絵が好きではなくても、十分に満足できる。

追伸:バッテリーマネジメント関連で、Firmware update が出ています。ユーザーの方は、チェックしてみてください。