全国500人の、「都庁の周りを掃除しているキレイなお姉さんファン」の皆さんこんにちは。羊ページです。
都庁の周辺の清掃作業は、当然ながら、専門の業者が外注で行っている。彼らは、蝉がジージーうなる真夏から、ビル風が容赦なく吹き付ける真冬まで、 毎日のように都庁の通路や、中央公園につながる陸橋など、あらゆる部分を掃除している。メンバーは、約6名。ほとんどが、30 – 40代の男性だ。しかし、そのライトブルーの作業着をまとった掃除集団の中に、一人だけ、「お姉さん」がいる。しかも、「キレイなお姉さん」が。
実際、「都庁の周りを掃除しているキレイなお姉さん」というのは、新宿都庁近辺に働く男子であれば、おそらくは誰しもがチェック済なのではないかと 思う。周りの人間に聞いてみても、「ああ、あの人でしょ」と答えが返ってくる。午前11時のフレックスタイム限界時間にさえ、ダッシュしないと間に合わな いような生活をしている人びとが、皆、彼女の事を知っているのだ。よく見てるというか、それぐらい目立つのだ。
さて、ここでポイントなのは、多分、「都庁の周りを掃除している清掃員」という点だと思う。最近は増えてきたといっても、若い女性の清掃員というの は、割と珍しい。というか、率直に言って、なんとなくミスマッチな感じがする。そして、そういうイメージとのギャップというのは、人の興味を惹くものだ。 ジャガーショールームの受け付け嬢。それよりは、タコ焼き屋台の女亭主とか、スキー場の宿の看板娘とか、なんかそういう方が、いい感じがする。
ところで、僕はその「お姉さん」と毎日会うのかというと、実はそんなこともない。業者が清掃している場所は日によって異なるし、僕の出勤時間や出勤 コースは極めて気まぐれだ。だから、月に数回、出くわせばよい方だと思う。それだけに、彼女に会うと、割と得した気分になる。ビル風は強く冷たく、水は手 を切るような冷たさ。そんな冬の早朝に、彼女が一生懸命手すりを磨いている光景は、なんとなく感動的ですらある。(横で同じ作業をしているオヤジは、なん とも思わないんだけどさ)
確か、1ヶ月ぐらい前のことだったと思う。その日は、丁度中央公園陸橋の洗浄日。橋の上では、例の業者が、機械を使って床を磨いている。と、向こう 側から、作業を中断して、彼女が歩いてくるではないか。実は、僕はちゃんと彼女の顔を見たことがなかった。彼女は、いつも帽子を目深に被っているし、敷石 なんかを清掃しているから、ずっと俯きっぱなしなのだ。
すれ違ったとき、僕はどきっとした。顔を上げた彼女を、僕は初めてはっきりと見た。そして、その瞳には、なんと一杯の涙が浮かんでいたのだ。当然、 僕が声をかける筋合いではなく、僕たちは数秒ですれ違った。この瞬間、彼女と僕の距離は近くても、互いに何の繋がりもないのだ。僕は、床を磨いている、清 掃業者の他のメンバーをよけつつ、橋を渡り終えた。あの涙は、、。
まあ、洗剤が目に入ったんだろうけどね。
注:ジャガーショールーム及び、ジャガーショールーム勤務の方に対して、なんら悪意はありません。第一、行ったことないので、よく分かりません。