夜のパリ中心部は人影がない。日本の繁華街のように活気のある街を想像して、遅くまでうろうろしていたら、静寂の中に取り残されてしまった。店は、営業時間が終わるとさっさと閉めてしまうため、街はあっという間に閑散とする。
とりあえず、エッフェル塔に行くことにした。
エッフェル塔は、それこそ街の至る所から見える。だから、塔を目指して歩いていけばいつかはたどり着くだろうと考えていたが、甘かった。歩いても、歩いても近づかない。やつは、思った以上にデカイのだ。
そのうち、モーターハウスが並び、うつむき加減の人が怪しく闊歩するような、怖い路地に入り込んでしまった。その、危険な雰囲気の漂う街角で、とっさにカメラを取り出して撮してみた。
そうしたら、案外かっこいい景色。
芸術と、文化の都であるパリには、こんな風にはっとさせられる景色がたくさんあった。セーヌ川の周辺をフラフラ歩くだけで、沢山の美術館を見つけることができるこの街では、自然といろいろなものが洗練されるのかもしれない。