怒りの天丼

最近、朝はバス停まで森を通って(森があるんだ、悪いか)行くことにしている。昔、海外のマッサージで(怪しいのではない)「あなたは首がこってい る。コンピュータに向かいっぱなしは体に悪い。ひまな時間は緑を見るように」と言われた。オフィスの観葉植物を凝視するわけにもいかないので、森を歩くこ とにしたのだ。

少し湿った落ち葉の上を、てくてく歩く。なんとなく、景色がギラギラしている。冬だから、森の落葉樹はみな葉を落としている。澄んだ空気の中で、枝と枝が無数に重なり合い、遥か遠くまで続く。それにしても、なんか景色が変だ、目が悪くなったのだろうか。


昼、例の小料理屋に昼飯を食べに行く。

今日のオヤジはめちゃくちゃ機嫌が悪い。ランチ・メニューは天丼 or 銀睦の焼き物 or 鮭の西京漬け、(烏賊の湯引き山葵醤油、揚げの味噌汁、白菜と野沢菜の漬物、煮物付)だったのだが、メニューに揚げ物がある日は、たいていオヤジの機嫌が 悪い。注文が揚げ物に集中すると、オヤジ独りでは手が回らなくなってしまうのだ。しかも、天丼は海老・茄子・ピーマンなどを何種類か揚げなくてはならず、 ひときは面倒くさい。それだったら、揚げ物を出さなければいいのにと思うが、そういうものでもないようだ。

カウンターの向こうの雰囲気は、近年に無く最悪。しかし、大半のお客は常連で、オヤジの怒鳴り声には慣れたもの。しかも、実は、ここの店 はオヤジが怒っている時が一番旨い。機嫌が悪ければ悪いほど、オヤジの仕事は冴え渡るのだ。だから、今日はひときは美味しかった。怒りの天丼。


オフィスに戻って、ホロホロとメールを書いていると、同僚に「顔が赤いよ」と言われた。んー、つまり熱が出ているわけだ。どうりで景色がおかしかった訳だ。焦点があってないのだ。仕事はつづけたものの、とてもいまいち。

僕は許容動作温度の幅が狭いので、熱があるととたんに言動そのものから変化してしまう。(第三者の証言によれば、リアクションが全然変わるので直ぐに分かるらしい)こんなんでは、ミーティングに出たりしても変なことを言うだけなので、さっさと帰る。


家に帰って寝た。

暇なので、静かに音楽をかけていると、まだ日も落ちたばかりだというのに暴走族が(いるのだ、悪いか)、うるさい。怒り狂っていると、体が回復してきた。怒るのも大切みたいだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です