Sony Cyber-shot DSC-T2 Carl Zeiss Vario-Tessar F3.5-4.3/6.33-19.0

Photo: malt Sony Cyber-shot DSC-T2 Carl Zeiss Vario-Tessar F3.5-4.3/6.33-19.0

Photo: "malt" Sony Cyber-shot DSC-T2 Carl Zeiss Vario-Tessar F3.5-4.3/6.33-19.0

T2 といえば、まあ、普通は Contax T2 だと思うのだが(違うのかも知れないが)、Cyber-Shot T2 というのも出ている。なんとなくカメラっぽくないデジカメが欲しいなと思ったら、そのT2が割と合っていそうだった。見た目は、昔東芝が出していた(出し ていたんだ、デジカメを)sora に似ていなくもない。

朝起きて、なんか最近デジカメ買ってないなと思って、夕方、晩飯がてら買いに行った。やたらにポイントが付くみたいだったので(実際には、それは ちょっとした表示間違いで、僕が買った後で訂正されていた)、あっさり買った。Cyber-shot は各モデルの生産期間が結構短いので、ある程度値頃感が出たぐらいで買っておかないと、手に入らなくなってしまうのだ。


さて、このカメラを一言で言うと、タッチパネルで直感的に使える、ちょっと変わった和み目の写真が撮れる、今日のデジカメ、である。

まずは簡単なスペックから。x3 Vario-Tessar, 光学手ぶれ補正、タッチパネル、4GB メモリまで入って、実売 2万円強。既に販売終了の小売店もあるモデル末期とはいえ、市場原理とは恐ろしいものだ。T シリーズなので、機能面よりはデザインとか、使い方のスタイルとか、そういう方向に振られている。

レンズバリアと電源スイッチが連動するギミックは、往年の U シリーズを彷彿とさせるが、性能は格段に良くなっている。初代 T は、機械機械していたが、このモデルはデザインとしては相当こなれている。色は、黒と白、そしてグリーン。グリーンは web でみるよりずっと光沢がある、というか、パール塗装みたいでなかなか凄い色をしている。実機を見て、まあまあだったらグリーンを買おうと思ったが、まあま あどころか、かなり「エー」と思う色。それでも、デジカメらしくない、ということであえてグリーンを選択した。


レンズは、9群 11枚の Vario-Tessar。残念ならが、T* ではない。ここにコストをかけても、売れない、ということだろうか。でも、ちゃんと T* で出して欲しいな。絵の印象は、ちょっと不思議な、ネガっぽい柔らかい色味。ノイズや偽色をよくよく見ていくと、そんなに優秀でもないと思うが、トータル な絵として僕は好きだ。レンズは決して明るくないので、光学手ぶれ補正と合わせても、暗いところはそんなに得意でも無さそう。ただ、低光量での AF 速度・精度は悪くない。画角は 35mmフィルム換算で、38mm – 114mm で広角好きとしてはやや物足りない。

レリーズについては、割と色んな機能が盛り込まれている。オートブラケットを搭載しているのは偉い。笑顔に反応するスマイルシャッターは、アホらし いと思いつつも、みんなやってみたくなってしまう機能。しかも、意外と精度が高い。顔をきちんと認識するし、笑わないと確かにシャッターは切れない。普段 は写真を嫌がる人でも、思わず試したくなってしまう機能。こればかりは、古いアナログカメラの考え方では、絶対に実現不可能という意味で面白い。

背面の液晶はタッチパネル。この操作性は極めて良い。インターフェイスもこなれているし、反応も速い。タッチパネルのお陰で、背面のスイッチは4つ のみ。僕は、タッチパネルほど使いにくいインターフェイスも無いと思っているのだが、長年の機能向上の成果か、あるいは、人間の側が慣れたのか、T2 の使い勝手は良い。神経質では無い人でも、さすがにこのタッチパネル液晶には、保護シートを貼っておいた方が良いと思う。

面白いのが、紙のちゃんとしたマニュアルはもはや付属せず、必要な人は PDF を見るという形になっている。それでも、マニュアルは見ないで全ての操作は可能だ。

内蔵メモリが 4GB もあるということで、写真を沢山持ち歩くということを前提にした機能も多い。音楽付きの自動スライドショー機能や、カレンダーからの写真選択などは面白 い。タッチパネルを使って、その場で写真に落書きできるのもユニーク。ただし、その機能が常用されるかというと疑問。(はやくも、使っていない機能)


その他の印象。 Sync ソフトウェアは、かなりちゃんとつくってある印象で、画像ブラウザもオリジナル。Vista ライクなというか、Mac っぽいというか、無意味な挙動時のエフェクトは、一瞬で飽きる。使い勝手は普通。デジカメを何機種も持っていると、Sync 時にいろいろなソフトが Sync をかけようとして結構困る。毎回選択するのも面倒なので、この辺がうまくハンドリングできる共通規格のようなものが出来ると良いのだが。

USB インターフェイスは、意味不明なソニーオリジナルの形をしている。こういう誰の利便にもならない自己満足規格はやめて欲しい。4GB のメモリを搭載しているので、外部メモリは事実上不要だが、Memory Stick Duo のみ対応。これも、誰も嬉しくない。この 2点は改善して欲しいが、まあ、無理か。

Sony Cyber-shot U40, 5(33)/2.8

Photo: 2005. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10

Photo: 2005. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10

個人的に名機だと思っている Cyber-shot U10 の後継は、U20, U30 と順調に出たものの、U40 を最後にこの系統は製造中止になってしまったようだ。(ひねるカタチの U50、防水仕様の U60 はちょっと毛色が違う)

U10 に不満はないものの、密かに次の世代の U が出るのを待っていた。で、L1 がそれか?と思ったが、でかい、あまりにもでかい。U10 の時に、ビジュアルブックマークというコンセプトを鮮やかに体現した姿はもはやなく、単なるコンパクト機として LUMIX などに対抗するだけの中途半端なカメラになってしまった。


そこで、未練がましく U40 をオークションで落とした。なにせ、2005年に入ってから店頭では殆ど見かけなくなってしまったのだ。

まだあまり使っていないのだが、U10 に比べて改善されている点が多々ある。まず、memory stick が大容量でも起動時間が悪化しない。Duo になってしまったという不満はあるが、AAA サイズの乾電池が使えるという特徴を残して、さらに小型化したのだから仕方有るまい。画は、ノイズが少なくなり、発色も格段に良くなっている。機器として の質感はかなり上がっており、実売で 1万円強のカメラとは思えない。出っ張りのあったストラップ取り付け用の穴は、ひっこんていて邪魔にならない。見にくかった背面の液晶画面は、大きさこそ 変わらないものの、明るくなり、視認性は格段に向上している。白飛びして実用にならなかったフラッシュも、緊急用としては十分に使えるレベル。これだけの 改善を施しながら、サイズは U10 よりも薄く、小さくなっていることは驚異だ。


残念な点は、露出のプログラムオートが、U10 とは違ってシャッター速度をかなり落とすこと。U10 の場合、露出が足りない際には増感処理でしのいでいた(それでノイズが多くなった)ようなのだが、U40 はシャッター速度を落とす。結果として、暗い場面でのノイズ感は減ったが、手ぶれが出やすくなってしまった。このため、実は U10 よりもこのカメラは難しいカメラになってしまっている。ボディが小さいこと、利用シーンとして室内が多いこと、などを考えればこのチューニングは失敗では ないかと思う。

その他、U シリーズの特徴であるオートマクロ、シンプルな操作系、秀逸な画像転送ソフトなどは U10 以来共通のものを継承しており、何の違和感もなく使えるのが楽しい。こういったコンセプトのカメラは、有りそうで無い貴重なもの。製造中止はあまりにも惜 しく、是非、後継機種を出し続けて欲しいと思う。デジカメ文化が浸透した今だからこそ、選ばれるカメラだと思う。

Sony Cybershot U10, 5(33)/2.8

Photo: U10

Photo: U10

最近のソニーの CM に心動かされている、そこのあなた、ここの私。ベガエンジンで ホームシアターバイオでホームサーバー、そしてサイ バーショットでビジュアル・ブックマーク

例の、「ビジュアル・ブックマークしよう!」という鬱陶しい CM が流れ始めて一週間。テレビ、雑誌広告、街のポスター、あらゆる媒体から人類の海馬領域に侵入する「ビジュアル・ブックマークしよう!」。

さらに一週間、僕はついに「ビジュアル・ブックマークしたい!お願いだ、いますぐビジュアル・ブックマーク!させてくれ!」という状態に至っ た。(ソニーマーケティングの思う壺)


とはいっても、僕はソニー信者ではないし、どっちかと言うとあの強烈な独自規格に縛られて、デジカメから洗濯機に至るまで、家中の電気製品がソニー 化されてしまうことを恐れている。

だから、世に出ている他ベンダーの小さいデジカメで、ビジュアル・ブックマークできるやつはないか、いろいろ検討してみた。Panasonic Lumix F1 でかすぎ、Casio Exilim はパンフォーカスしかできないので却下、Minolta Dimage Xi のズームは不要。Toshiba sora がちょっと良さそう。でも結局、選択肢が無い。小さいデジカメ、というのはあるんだけれど、ビジュアル・ブックマークに比する明快なコンセプトを持った、 「道具」は無かった。

そして、なんというか最近実売価格が一気に安くなったし、「スタパ齋藤も褒めてるしいいんじゃないか?」という「いつもの論理」に帰着し、Web のショッピングカートにビジュアル・ブックマークデジカメ Cyber-shot U10 を放り込んだ。


Cyber-shot U10 はデジカメとしての性能を考えると、糞だ。というのは言いすぎだが、あまりたいしたことがない。しかし、これは多分、デジカメではない。感じとしては、そ の場所を Ctrl + C (Macだと、Cmd + C だっけ?)でコピーする。そういうニュアンスのデジタルデバイスだ。あれも、Ctrl + C、これも Ctrl + C。

あるいは、ビジュアル・ブックマークのためのデバイスにデジカメの形態を利用したのが U10、という言い方もできるかもしれない。だから、U10 の設計上の関心はオーナーにどれだけスムーズかつシームレスにブックマークさせるか、ということに集中している。

具体的に、U10 の使い勝手を見てみよう。レンズカバーと電源スイッチは連動しており、基本操作は、レンズカバーをシャッと開け、小さな液晶ファインダーを覗き込んで、適 当にシャッターバシッと押す。以上。解像度が低いので、32MB のメモリースティック(うげ?)でも 余裕で 300枚(VGA時)ぐらい撮れる。で、まる一日撮り終わったら PC に USB 経由で挿せば、勝手に画像転送 & 消去してくれておしまい。PC にたまった画像は、付属の i-Jump というソフトを使って、携帯電話にばしばし送れる。

撮って、貯めて、見せる。

U10 はとにかく使い勝手が軽い。現在の技術から見ると、貧弱とも言えるカメラとしてのスペックが故に、蓄積や転送といったとり回しの部分で大きな余裕が生ま れ、それが軽さに繋がっている。U10 の絶妙に「軽い感じ」がリアルとデジタルの垣根を、とても低くしている。なんというか、「サイバーだ!」と思ってしまう。と、分かったような分からないよ うな総括をしたところで、もう少し詳しく見ていこう。


U10 には MP3 再生機能とか、12倍ズームとか、500万画素CCD とか、そういう特筆すべき機能は無い。世界最小最軽量ではないし、安くもない。個々のスペックは平凡だ。しかし、考えれば考えるほど、いじればいじるほ ど、「これはアリだ」と思わずにいられない。

まず、大きさと形。もっと薄いデジカメもあるが、実際使ってみると薄すぎてうまくホールドできず、結局 U10 ぐらいのサイズが、きちんとホールドして撮れる限界だ。また、携帯を一回り小さくしたぐらいの絶妙なサイズは、見慣れた感じがして受け入れやすい。全体的 なデザインはどうみても高性能な雰囲気が無く、たいていの場所で使って威圧感が無い。(たとえ許可をとっても、一眼レフで食べ物を撮ったりすると、取材か と思われ、かなり用心される、、悲しい目にあう)


U10 の機能をみていくと、普通あたりまえにある機能が「無い」。カタログ上で負ける事を考えれば、機能を付けない、というのは当世の技術者にとって勇気のいる ことだと思う。しかし、必要なものを見極めて無駄を削いでいくという作業こそが、モノを造るという過程の中では、本当はもっとも大切なことなのだ。

ということで、U10 にズームはない。というか、むしろそんなものは、金輪際付けないで欲しい。U10 は肌感覚で、こんな風に撮れるだろというカンを養いながら、つまり単焦点の画角に習熟しつつ、どんどん撮るのが正しい。もしズームが付けば、ズームボタン が増え、液晶ファインダーは大型化を余儀なくされ、撮影方法も含めて、バランスが根本から変わってしまう。

そして、ズームがないかわりに、U10 はマクロに強い。しかもフォーカス距離に合わせて、マクロモードへは自動的に切り替わる。僕は、このデジカメで遠景を撮ろうとは思わない。むしろ、街のく だらないポスターとか、心に残るマズイ飯とか、そういうものをブックマークしたい。だから、マクロに切り替えるという操作が不要なのはとても良いし、 10cmまで寄れるマクロ性能はとても心強い。U10 はその性質上、接写での使用をかなり重視して設計されていると思われる。事実、マクロでの扱いやすさは、手持ちの Canon PowerShot G1 よりも上だと思うし、10cm の接写能力は例えば(こちらはマクロではないが) Contax T3 のそれを 25cmも凌ぐ。

ちなみに、ファインダーの液晶が小さいのは、まったく気にならない。見にくい、という評価をみかけるが、AF があっているかどうかは、分かりやすい緑円で表されるし、フレームミングは十分確認可能だ。だいたい、このカメラはそんなに覗き込んで撮るものではあるま い。AF 速度は、個人的にはとても速いと思う。(メインが MF なので、自信ない、、)


さて、一般的にデジカメを含めて最近のカメラは、「絶対使わないだろ」というぐらいの設定項目が多いが、U10 は比較的少ない。例えば、画質は固定だ。メモリ容量を考えてちまちまと Fine とか Normal とかそういう設定をするのが、僕は大嫌いなので、これはとても良い。画質はソニーが勝手に決めるから、その範囲内で工夫しましょう、という、そういう割り 切り感。画角は VGA と1,280 x 960 が選べるが、U10 本来の使い方を考えるとむしろ VGA で使いたい。画質も、VGA の方が発色・ノイズ・コントラストのあらゆる点で優秀だ。


Photo: 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, VGA.

Photo: 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, VGA.

画質はどうでも良い、とはいっても、ある程度は気になるので簡単に。4群5枚のレンズは、10cm の接写能力が売り。見た目は頼りないが、色味は十分に出るし、F2.8 と結構明るい。そのまま使って手軽さを楽しむのも良いし、あるいは、この程度の画質であれば、好きなように画質や画角をいじって、純粋に素材として使うの も楽しい。質感までは写らないけれど、ある種のポップな味が出るから、トイカメラに近い位置づけで使うのが正しいと思われる。

それから、明るめの空なんかを撮ると、櫛形に巨大な「しみ」みたいなノイズが出るので注意。


最後に、ちょっと困ったところを。まず、フラッシュが強すぎる。マクロで併用したりすると、真っ白になる。ただ、発光禁止の設定は、ワンアクション で可能であり、しかも電源 ON/OFF してもその設定が残るので、基本的に内臓フラッシュを使わない僕としては問題ない。巷の Tips としては、ネームシールみたいなものをフラッシュに貼ってしまうと、丁度良くなるらしい。

それから、付属の充電器は呪いがかかったように、充電がとろい。13時間ぐらいかかる。スペアの電池と、急速充電器が必須だ。

Photo: 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, VGA.
注1:ソニーの洗濯機、、。
注2:良くも悪くも全身ソニー、なデジカメなので、嫌な人は他のを買いましょう。一見初心者狙いの機種に見えるが、意外と、今もっているデジカメに不便を 感じている人が、2台目に買うモノなのかもしれない、、。
注3:その後 U10 は順調に後継機が出続け(って、まだ一年経ってないのに)、200万画素対応の U20、マイナーチェンジの U30、U40(2003年11月 14日発売予定)まで出ている。「なかったこと」になる製品が多いデジカメ市場では、珍しい。