光の驚異

Photo: 1995. Rome, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

Photo: 1995. Rome, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

大聖堂の内側から、天井を見上げる。南欧の太陽がステンドグラス越しに照らす、壁面のフレスコ画。幾重にも重なる色。

バチカン大聖堂。光源は日光と僅かな蝋燭の燈だけだが、室内は明るく柔らかな光に包まれている。バチカンの建物で感心したのは、広大な室内の明る さ。さほど多くもない窓から、至る所に埋め込まれた金箔や大理石が、聖堂の奥まで光を運ぶのだ。この建物が建てられた当時、礼拝した人々の目には、この光の驚異が焼きついたに違いない。

ヨーロッパの他の由緒正しい聖堂の幾つかを見たが、ここに比する光の美しさを持つものには出会わなかった。この建物の中を満たす光の色合いには、実際にこの場所に立って見るだけの価値がある。

ドゥカーレ宮殿前の船着場

Photo: 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

Photo: 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

ドゥカーレ宮殿前の船着場から、アドリア海を望む。

ヴェネツィアは、べネト州の州都。ラグーンの上に造られた人工の水上都市。この街で消費される様々な物資は、全て船によって運ばれてくる。ヴェネ ツィアのリストランテが使う食材も、例外ではない。ワイン、野菜、チーズ、、。必然的に値段は高くなってしまうが、美味しい店が多いのも確か。

この船着き場から、宮殿とは反対方向に向かって路地を入って行くと、ちょっとした食べ物屋街がある。

偶然入ったリストランテで出された、イカスミのパスタがものすごく旨かった。本来、イタリア料理では、パスタはメインではないのだが(だよね)、あ まりに旨かったのでメインは頼まずにイカスミをもう一皿。

嘆きの橋(Ponte dei Sospiri)

Photo: 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

Photo: 1995. Venice, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

楽しげなこの街にも、影の部分はある。写真の橋は、ドゥカーレ宮殿と牢獄の間に架かる嘆きの橋(Ponte dei Sospiri)。「嘆き」は、この橋を渡った罪人の嘆きのことだ。

ガイドによっては、「死刑囚が最後に通った橋」「二度と戻れない橋」、と紹介する人もいる。真偽のほどは定かではないが、誇張のような気がする。

美しい意匠を施した橋だが、逃げられないように、窓にはしっかりとした格子が付いている。左側の宮殿の壁面が丁寧な仕上げなのに対して、右側の牢獄 の壁は、岩を削りだしたような荒っぽい造りになっていることに注意。大理石の碧みがかった輝きが、不気味に綺麗。