ハローキティー、大判小判

Photo: 乗り物、高さ2.5メートル。 2003, Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8
Photo: "乗り物、高さ2.5メートル。" 2003, Okinawa, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

平日昼間の大きなスーパーは、僕らのようにその時間帯にオフィスで働くことを常とする人間には未知の世界だ。出張の半ば、地元の様子を探りにダイエーに。主婦で溢れるフードコートを抜けて、危険な香りのする最上階のゲームコーナーまで行ってみる。でかいネコが、僕の前に立ちふさがっている。これは、カワイイのか。これは、乗り物なのか。そう、100円で乗れるらしい。(乗ってません)


「カワイイ」という概念が、いつ頃に生まれたものなのかは分からないが、それは急速に広まり、席巻している。サンリオが生み出したこのキャラクターも、そうしたカワイイの価値観を体現している。口がないのは、見る人の感情を投影できるようにとの意図があるそうだ。

このネコも、今年が生誕 30年だという。それを記念して、大判小判が発売される。価格は50万円、造幣局の刻印入り。知人には「株に投資するよりも、まだ儲かるのではないか」という、酷いコメントをいただいた。確かに、僕のポートフォリオは酷いことになっている、このネコに投資した方がまだ良いのかもしれない。


注1. カワイイと可愛いは、多分違う。
注2. かわい・いカハイイ(カワユイの転。「可愛い」は当て字) 1.いたわしい。ふびんだ。かわいそうだ。三体詩抄「万民の枯骨となりたるは―・い事ではをりないか」2.愛すべきである。深い愛情を感じる。「―・い我 が子」「―・い声で歌う」3.小さくて美しい。「―・いスズランの花」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]

古き良き東京の変わらない味、鰻重

Photo: 鰻 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.
Photo: "鰻" 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

友人が、今日の気分は鰻だ。というので、鰻にした。

暖簾をくぐると、都心とは思えない静寂。最もお気に入りの、奥の座敷に通された。今の職人ではとてもつくれない、という美しい造作の丸窓、ゆっくり 歳をとった建物の佇まい。昔からの常連さんが多いから、値段が上げられない、と聞いたことがある。だから値段は高くない、むしろ、この時代にこの値段で やっていけるのか?とさえ思う。
「どのくらいのところでお持ちしましょうか?」
「日本人なら真ん中だよね、真ん中のやつで。」

仲居さんは、にっこりして、お茶を出していく。お腹は空いているけれど、ご飯の盛りを良くして欲しいとは言わない。以前、そう頼んだら、お重にみっ しりのご飯が入ってきて、大変なことになった。何も言わなくても、十分なのだ。さて、それからたっぷり 30分も待てば、鰻の登場というわけだ。料理が出来上がってくるのを楽しみに待つ、というのは、なんとも懐かしい感覚だ。


きっちり焦げ目の付いた鰻は、もちろん旨い。でも、周りをうめているものも大切だ。唇が少し痺れるくらいに辛い山椒。炊きたてのご飯と、漬け物の はっとするような爽やかさ。香の物を盛った鉢に、季節の香りが現れている。白菜の白の中に、甘酢で赤く漬けられた蕪の、美しい赤。朱塗りのお膳と、使い込 んだお重。丁寧な仲居さんの応対。何だって同じことだ、ちゃんとしたものを、ちゃんとした仕事で。

食事とは、こういう事なんだと思う。暖簾をくぐって外に出ると、存外冷たい空気。まだ、本格的な春は先だ。

俺とガイジン。(三種盛り)

俺とガイジン。(三種盛り)

ガイジンにとってマツタケは靴下の臭いだ。と読んだ次の日に、ガイジンが来て、マツタケ弁当が出た。イタリア系の人たちは食べていた。インド系の人は残していた。なんとなく分かる気がした。

ん?栗の甘煮もダメなの?ベジタリアン?でもマロンだよ、マロン、、。


やべぇ、お客が超ガイジン。でも。
「どぉーもどぉーも、はじめましてぇ」
めっちゃ日本語じゃん。しかも、しゃべり方がセイン・カミュにそっくりだ。
まあまあ、こちらにどうぞ。ところで、お飲み物は何がよろしいですか?
「そーねー、お茶っていうよりは、、、迎え酒かな、ハッハッハッ」
、、。いったい、何者だよ。


今日も朝からガイジンミーティング。てっきり、でかい陽気なアメリカ人が来るのだと思っていたら、ニヒルで小柄なフランス人が来た。そう、何事も決めつけてはいけないのだ。

ニヒルってあたりが、既に決めつけているわけだが。(名刺に Ph.D とか書いてあったけど、控えめで良い人でした)


注:車で売りに来るカレーにしときゃよかったのに、、。