ワン。

Gentle eyes
Photo: "Gentle eyes" 2011. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S, F2.4/35

鮨屋。店の奥から気配がして、振り向いたら戸の影から顔を出していたよ。

「もう、18歳なんですよ。家に置いといたら、何あるか分かんないから、ここにね」

人間で言えば、もうご長寿と言われて久しい年齢。でも、毛並みはサラサラと見事で、目は澄んでいた。


僕は食べ物屋に動物が居る事には否定的だけれど、このご長寿の子を手近でみていたい気持ちはよく分かって、悪い気はしなかった。

首を撫でる。ワン、とも鳴かない。優しい目で、見返している。とても賢くて、優しいのだと言う事が、手に伝わる重みで分かる。そういえば、何年も前に、店の大将の家で君に会った気がするな。

帰り際、戸の影から小さく「ワン」と鳴いた。長生きしろよ。

Houston, we have a problem.

Houston, we have a problem
Photo: "Houston, we have a problem" 2011. TX, U.S., Apple iPhone 4S, F2.4/35

ヒューストン、早朝。風呂の中。
晩飯がビール三本と、タコス二つでは、腹が減って目が覚める。


時差ぼけは乗り切ったようだ。同じようなホテルでも、色んな空気がある。今回泊まっている部屋には、なんとなく親密さを感じる、良い部屋な気がする。別に上等な部屋ではない。1階の駐車場に面した窓から差し込む西日が、子供の頃に住んでいた家を思い出させるからだろうか。


初めての土地の、初めてのオフィス、初めての人々に出会う。初日は、パーティションのどっちに歩けば良いのかも分からない。でも、飛び込んでみれば、確実に慣れつつある気はする。出来ることは、少しづつ増える。

いろんな国の、いろんなベッドで眠る。
そうして、朝が来て、腹が減る。

スムーズにバケツコーラを注文するための、秘密の呪文

Go large!
Photo: “Go large!” 2011. Las Vegas, NV, US, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

ラスベガス。帰りの空港、朝の腹ごしらえ。


それにしても、このポテトの山はやり過ぎだ。バーガーキングのカウンターで、「Go large!」と唱えると大量の食事を、さらに大量にする事ができるのだと、今回初めて教わった(その必要を、感じた事は無いのだが)。そして、同僚は、その呪文を一人で2回唱えた。

バケツコーラが2つと、ハッシュポテトをミニにしたものが、山盛り山盛り。最初から食べきる気、無いだろ。


もったいないとか、省資源とか、分別とか、まったく無い国。そして、直ぐにそれに慣れてしまう自分。