「こんにちは。ちょっとよろしいですか。」
と、IM が入る。マレーシアで一緒になった、北京の人だった。
「私、会社を辞めてアメリカに移住します。」
移住?留学とかではなく??
日本の地方都市をちゃんと巡る、というのは面白いだろうな、と最近思う。下手に海外に行くよりも、高くついてしまうけれど、ネイティブの視線でより深く見られる。
地方に行くと、その地域で完結する世界がある気がする。ここで一生を送っていく人は、どんな気持ちと、どんな思いで、その人生を選択したのだろうか。
東京に戻れば、それは首都という一つ上のクラスタになる。上というのは上等・下等の意味で言っているのでは、もちろん無い。僕はそこで少しの疑問を抱きながら、生活をしている。これから先も、このままこのクラスタに居る、恐らく、自信は無いが。
もう少しクラスタを上げて行くと、いまや日本もアジアのクラスタの一員に過ぎない。過ぎなくなりつつある、といった方がいいだろうか。アジアのクラスタの上の方はどこだろう。
日本と、中国と、シンガポールあたりが争っている感じか。それからインドか。
アジアのクラスタを上げると、欧米になるのだろうか。そこで冒頭の彼女のことを思い出す。中国から、一気にアメリカに移住か。華僑は世界中いたるところに住んでいる。中国人の、そういう根っこをほかに移してしまう思い切りには感心する。
もの凄く真剣で、切実に、クラスタを移ろうと努力したのだろう。僕は、彼女の努力を、なんとなく感じていて、アメリカに移住するという IM にもあまり驚かなかった。
彼女の位置から見ると、僕は世界の一地方のクラスタに安住しようとしている人間に見えるんだろう。それは、あるていど気楽で、可能性の決まった世界だ。
google翻訳を使って、「よい旅を」と北京語で返した。