そして、IBM ThinkPad X30 10th Anniversary Limited Edition がやってきた。
そりゃ、275,000円は高い、高すぎる。それは、よく分かっている。こういうアホなものを買うのは日本人だけだということもよく分かっている。
でも、まあ、せっかくですから。
この長い名前の TP(ThinkPad) について簡単に説明すると、これは IBM が世に初めて TP を送り出してから 10年目を記念しての 2002台限定モデル。ベースになっているのは、日本未発売のミドルレンジ B5 サブノート X30 で、これに(色々な意味で有名な)ミラージュブラックの特別塗装が施される。さらに、この国内限定版 X30 の最終組み立ては、日本で行われる。
実は、使ってみた感想というのは、あんまりない。いつもの TP。OS をセットアップして、いつも使っているソフトウェアをインストールし、昨日までのデータと設定を移行すれば、何の違和感もなく使い始めることができる。
いつものことだが、キーボードは素晴らしい。妙な言い方だが打てば打つほど楽しくなってくる感じがする。キーストロークが深く、剛性感も高い。このあたりは、TP の独壇場であって、いつもの TP という期待を裏切らない。
S30 や X20 系では、いまいちスムーズさに欠けていたデザインが見直され、綺麗なスクウェアデザインになっている。ラップトップという言い方は、使われなくなって久し いが、この TP は発熱が少なく、文字通り膝の上でつかってもあまり熱くない。電力消費と放熱のマネジメントがしっかりしているという印象を受ける。
磨くことに疲れた。人生の意味を考えた。故郷の親を思い出した。など、さまざまな意見を聞く、特別塗装ミラージュブラックだが、これは確かに手入れ が大変。ピアノと同じ鏡面仕上げの表面を綺麗に維持するというのは、まあ、無理。それに、ノートPC を開いて使っていると、実は塗装面はまるで目に入らない。しかし、その手触りはすごい。モニタの角度を変える、掴む、持ち運ぶ、そういう状況での手触りの 良さ。道具としての質感の高さで、全体的な印象はかなり高い。
もちろんその他にも、いろいろと細かい改良が加えられている。少し前の TP は、開けるときに両手を使う必要があった。TP は、開ける際に 2箇所のロックを外す必要がある。以前は、この 2つのロックを同時に引きながら開ける必要があったのだ。これでは、片手がふさがっている、あるいは不自由な場合に開けることができない。X30(もっと 前のモデルからそうなっているのかもしれないが)では、ロックを片方ずつ外して、片手で開けることができる。
膝に乗せた時の剛性感、手に持ったときのウエイトバランス、各種コネクタ類の組み付け精度の高さ。店頭でちょっと触ったぐらいでは、このような感覚 的なものまでチェックすることは、なかなか難しい。ノートPC は道具であり、体験である。重要なのは、このようなカタログには現れないモノとしての誠実さだ。見えにくいところできちんとコストがかかっている。そうい うものを選ぶことができる自分でありたいと思う。
それに、まあ、せっかくですから。
注1:US の shop ibm 価格で X30 の英語版同型モデルが $2,569(通常塗装)で 31万円ぐらいなので、実は高いというわけではないのだが、、。
注2:ミラージュブラックの TP は、写真にあるようなおめでたい紅白パッケージに入ってやってくる。写真からシリアル番号は消してあります。