源流を辿る旅は終わった。腹が減った。
国道沿いに巨大な水車が目に入る。藁葺き屋根の、観光客相手の食堂。そこで、昼メシにすることにした。
冷やしウドンを待っている間、清々と風に揺れる稲穂を眺めていた。頬をくすぐって吹きぬけた風が、田んぼを渡っていく。
隣では、外国人の家族連れが、行儀良く食事をしている。
古い農家を移築した店は、なかなか趣があって、年季の入った板の間にごろりとすれば、たちまち眠くなってしまう。
ウドンはわりと美味かったけれど、店の片隅には冷凍ウドンのダンボールが積んであった。
吹き抜けるゆっくりした風とダンボール、その 2つをよく覚えている。