サントリー白州蒸留所、樽の火入れとスモークチーズ

Photo: ウイスキー樽の火入れ 2004. Yamanashi, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "ウイスキー樽の火入れ" 2004. Yamanashi, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

思いつきで、白州蒸留所を訪ねる。連休のさなか、工場自体は休んでいて、静かに停まった蒸留機を見ても、大きいなぁぐらいの感想しかない。でも、最後に案内された貯蔵庫では、まさに白州の空気を吸って、ウイスキーが熟成中だ。樽から蒸発するウイスキーで、庫内の空気はテイスティンググラスの中に居るような、アルコール濃度。鼻先に、アルコールの塊を感じる。


熟成に使われる樽は、暫く使っていると「力が無くなってしまう」らしい。そこで、火を入れてやると、また「力をとりもどす」という。樽ごと燃やす気?と思うほど盛大に、火が燃えさかる。でも、樽木というのは、思ったよりずっと分厚いので(実際にばらした樽木を見せてもらった)、表面が数ミリ炭化するだけだ。こうやって力を取り戻した樽は、また新しいウイスキーを詰められて、熟成をしていく。このあたりは、凄く自然の力なんだと思う。

僕は家でアルコールを飲む習慣が無いので、お土産にウイスキーを買ったりはしなかったけれど、この樽木を使ってスモークしたチーズが美味しかった。(別にウイスキーの香りはしないよ)要冷蔵だったけど、いつ家にたどり着くか分からなかったから、白州の取水源になっている森を眺めながら、その場で食べてしまった。

注:サントリー白州蒸留所の見学ツアーは無料。でも、お土産をけっこう買ってしまうので、、。

ほんとにマニアック

Photo:福江島の入り江 2003. Nagasaki, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo:"福江島の入り江" 2003. Nagasaki, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

五島列島は観光地としてはどうなんだろう。海は、綺麗だ。今日みたいな天気の良い日には、美しい色をしている。で、人はあんまり居ない。少なくと も、東京あたりから来ている人が居ない。ここからほど近いと言えなくもない屋久島が、マニアックな感じを演出しつつも一大メジャー観光地として成功してい るのに比べて、五島列島は、ほんとにマニアックなのだ。


僕たちは、福江島に一つある SATY で水着やらピクニックシートやらを買って、子供とお母さん達に占領されている、午後のフードコートでドーナツを食べた。いかにも観光客を相手にするような 店に行くよりは、こんな地元の普通のスーパーの方が、よほど安くてちゃんとしている。でも、ここではそもそも観光客向けの店なんて見あたらなくて、普通に スーパーしかない。多分、あんまり観光地ではないのだ。


ふらっと入った鮨屋の大将とかも、全然観光客慣れはしていなくて、やたらにネタがでかくて値段の安い握りは、ほんとに地方の漁師町のお昼ご飯という感じだった。

あるいは、海辺で写真を撮っていたら話しかけられた時も、地元の暇なオッサンの普通の世間話だったりした。
「なに?そのカメラ?」
「ん、CONTAX です」
「、、」

多分、変なニセモノカメラだと思われたに違いない。気まずいこときいちゃったな、悪いな、という感じで、話題は変えられていった。オッサンは、どこどこの店は現像が安い、という情報をくれたりした。ごめん、ここで現像はしないんだよ。

それにしても、今日は海の色が綺麗だね。

就寝禁止

Photo: 就寝禁止 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "就寝禁止" 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

浅草六区って行ったことありますか。ビートたけしの話なんかに出てくるあのあたり。雷門あたりまでは行ったことがあっても、すぐ先の六区まで行ったことのある人は、案外少ないじゃないかと思う。僕は行ったことがなくて、この間、たまたま、夜に歩いた。目的を持って行ったというよりは、なんとなくたど り着いてしまったのだ。なんだろう、東京にこんな所があるとは思わなかったよ。

その夜の不思議な雰囲気と景色はいささか Ghost in the shell で劇中挿入される大陸的街並みの様相を呈す。やたらに幅のある通りの両側に、演芸場だの、ボーリング場だの、最近見かけない類のビルが並んでいる。どこか レトロなネオンと、ミスマッチにケバケバしい幟。角のローソンの入り口で、泥酔したじいさんが寝ちゃってるし、誰もそれに驚かない。誰々プロデュースの昭 和テイスト、とかいうのではなくて、リアルに声のでかいオバチャンが、のしのし歩いてる感じ。ここには、少し緊張感のあるぬるまったい空気が支配する、ア ジア的の夜の怪しさみたいなものがある。


道ばたの占い屋台(屋根付きだ)に座る、怪しげな八卦見の視線を背中に感じながら、路地に入っていく。区の建物の前に置かれた駐輪禁止の看板は、い つしか就寝禁止に掛け変わっている。そりゃこんだけスペースがあったら、寝るだろうからなぁ、みたいな。でも、よく考えるとめちゃくちゃだ。表通りみたい なところには、明らかに観光客を目当てにした、屋台に毛が生えたような、そして、恐らくは結構良い値段をとる飲み屋が並んでいて、けっこう一見の客がひっかかっている。それを横目に、日曜の深夜にまばらに歩く、僕も含めて職業不明の人々。こりゃ、大変な所に来てしまった。