このウンザリする厚さの本を読む気になってのは、一昨年のWired conferenceで著者のケビン・ケリーのセッションが出色に面白かったからだ。(テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケヴィン・ケリー著、服部桂翻訳、みすず書房 2014年)
この本は前から知っていた、多分書店で手に取ったこともある。しかし、時が熟していなかった。そして、再びこの本を手に取った2020年末は、この本が必要な時で、この本がドットを繋げる(あのスピーチで言及されていた、ホールアースカタログの編集者の一人は、まさにこの本の著者であるケビン・ケリーなのだが)時期なのだ。どこに行くのかはさっぱり分からないが、何かの潮流に乗って、このタイミングで、なにかの繋がりへの萌芽を感じたことは確かだ。
1年半前の自分のメモには、いささか不正確だと思われる引用を交えて、興奮気味に印象を書いている。曰く、
”テクノロジーは滅びない、その進化は縦ではなく、過去のアイディアが突然現れたりして進む。それは、我々が日々のネットの技術を評価して、これって昔もあったよね、みたいな事を言い合っているのが、あながち単なる懐古趣味と言うことはなくて、テクノロジーが本質的に持っている進化の仕組みがそうさせている。そんな指摘は初めてみたし、しかし、直観的に正しい指摘だと感じる。”
しかし、この本は、まだ途中なのだという感じが拭えなかった。ただ、何かの再スタートのきっかけにはなった。