YouTubeで、スタバのナイトロのコーヒーを頼む動画を見ていて、突然コーヒーが飲みたくなった。今の自分には、飲める確信があった。
読者の中には知っている人も結構居ると思うが、僕はコーヒーがとても嫌いだ。
それは、自分の父親の思い出と繋がる匂いであり、イメージであり、それが僕をコーヒーから遠ざけていたのだという事に、突然に気がついた。ロスアンジェルスで、ボディービルダーがジムの近所のスタバで、ナイトロ・コールドブリュー・コーヒーを4つオーダーしている、その光景を見ていた時に(念のために言っておくと僕はボディービルの趣味は無い)、それがいきなり理解されたのだった。
シミのついた角張った銀色のサイフォン、絞ったコーヒーの絞りかす、その匂い。スタンドに乗った殻付きの半熟卵、ばさばさのトースト。そんなイメージの連鎖なのだ。そういう思い出の蓋のような匂い、それが自分にとってのコーヒーなのだと、その関係性を突然全て了解した。
そういう妙な瞬間というのが、多分人生には何回か有ると思う。
近所のスーパーでドリップパックのコーヒーを買ってみる。何を買ったら良いのかさっぱり分からないので、何かのBlogのベストテンを参考に選んだ。煎れ方の知識は全くないから、説明書きを丁寧にフォローして湯を注ぐ。そして、確信の通り、普通に飲める。
湯気の向こうに、河を上り下りするタグボートを眺めながら、気分は良かった。