今、目の前に勢いよく流れている、幅10センチほどの流れ。これが四万十川の、源流だ。
周囲は、既に30度程の傾斜になっていて、一面苔生した岩肌。なぎ倒された灌木と雑木が、その隙間を埋める。足下は湿っていて頼りなく、水量が少な いとはいえ流れは速い。湿り気のある緑の香気に満ちた空気がなければ、頼りない急傾斜の岩肌に撮影用の装備一式を背負って取りついている恐怖を、感じたかもしれない。
しかし、あまりにも美しい苔の緑と、美しく透き通った水に僕は興奮し、恐怖を忘れ、高く高く登った。
写真と紀行文
今、目の前に勢いよく流れている、幅10センチほどの流れ。これが四万十川の、源流だ。
周囲は、既に30度程の傾斜になっていて、一面苔生した岩肌。なぎ倒された灌木と雑木が、その隙間を埋める。足下は湿っていて頼りなく、水量が少な いとはいえ流れは速い。湿り気のある緑の香気に満ちた空気がなければ、頼りない急傾斜の岩肌に撮影用の装備一式を背負って取りついている恐怖を、感じたかもしれない。
しかし、あまりにも美しい苔の緑と、美しく透き通った水に僕は興奮し、恐怖を忘れ、高く高く登った。