どうにも馴染めない飲み会。愛想笑いも精一杯。ようやく終わって、さて二次会に流れようかというところで、
「六本木にクソなバーがありますけど、どうですか?」
と声をかけられた。後ろの方を僕と一緒に歩いていた彼もまた、これ以上はうんざりといった様子だったから、こっそり列から離れてタクシーに乗った。
それは、店ですらなかった。二棟のビルの間の通路に屋根をかけて、カウンターをつけて、酒を並べてしまった空間。これって、廊下?本当にクソなバーだ。
「本当にクソですねぇ」
「ええ、まったく」
客は、極東の片隅の、クソなバーに流れ着いたクソなガイジンがほとんど。70年代あたりの曲が流れると、一人がカウンターの上に上がって、踊り始め た。多分、金をもってないのだろう、安酒を飲んで、めちゃくちゃなスタイルで踊っている。そんなクソなヤツを見上げながら、僕たちも安酒を流し込んで、戦コンはどうとか、そんな、クソな話をする。カウンターの上で踊ってるガイジンがウインクする。僕たちは、次のビールを瓶で頼む。
いろんな言語の落書きで、びっしり埋まった天井。挨拶か、名前か、罵詈か。そんなものが、六本木の片隅で淀んでいる。
注:コンサルは嫌いだ。