「茶碗夫婦」に女の子が生まれた。
僕は先週、奥さんのために、蝉の鳴く比叡山で安産のお守りを買ったのだけれど、それを贈る暇もなく生まれた。僕はどうも、贈り物のタイミングを逃しがちだ。
もう一人の友達と、子供が男の子だったら名前は「ムサシ」にしよう、と勝手に決めていたが、女の子の名前はまだ決めていなかった。良いのが思いつかなかったのだ。
茶碗夫に「ムサコにする?」と冗談で訊いてみたが、嫌そうだった。
電話口の茶碗夫に、僕は「おめでとう」と言った。彼は「ありがとう」と答えた。
僕も、彼も、こういうことは、はじめてだったから、なんと言えばいいのかよく分からなかったのだ。世の中には、多分、こういう場合にふさわしい言い回しみたいなものがきっとあるのだろう。
どうでもいいことだけれど。