朝起きると、部屋の壁にクワガタがたかっていた。
なんだか、ひどく薄汚れて埃まみれになっていたが、たしかにクワガタで、しっかり壁にしがみついていた。山の中というわけでもないのに、なぜクワガタが。どこかの家で飼われていたのが、逃げ出してきたのだろうか。
とりあえず、暑い中を壁に張り付いていたのだから、なにか食わせてやるべきだろう。キュウリ?スイカ?あいにく、冷蔵庫にそういったものはない。調べてみると、クワガタの食料はヨーグルトや腐ったバナナでもいいらしい。
クワガタを苺の入っていたパックに移して、ヨーグルトを一塊置いてみる。最初は戸惑っていたようだが、そのうち、乳清のあたりを飲み始めた。気に入ったかどうかは分からないが、まあ食えるらしい。ついでに、ティッシュの空き箱を加工して屋根をつけ、日陰をつくっておいた。夜行性だから、このほう が、落ち着くはずだ。
さっき見たら、日陰に移動してくつろいでいた。少し、元気になったようだ。