今年も、敗戦記念日が近くなった。
実に、これは「敗戦」なのであって、もしも勝っていたとすれば、この戦争への評価は、また異なっていたに違いない。一見、反戦平和は人類共通の価値 観、のように言われるけれど、そんなに単純なものではあるまい。もし、あの時勝っていたら、今と同じ評価を日本人は下し得ただろうか?
「街は平和への祈りに包まれていました」
毎度お馴染みのセンテンス。まあ、こう結んでおけば苦情の電話もかかってこまい。
この季節にニュースの原稿を書く人間の思考は、多分、そんな風に動くのだろう。つまり、彼らにとって、そんなものはどうだっていいのだ。
「戦争の記憶なんて、忘れてしまえばよい」
その通りだ。
あるいは、こんな風にも言える。人それぞれに、同じ質量の人生がある。戦争の人生を伝えなければいけないのなら、他の人生だって伝えなければおかしい。