“A desert road from Vegas to nowhere..”
ヘッドフォンの向こうでホリーコールが歌っている。飛行機はベガスの空港から動かない。
操縦室のドアが開きっぱなしで、パーサーとパイロットが何やら話し込んでいる。機体の調子が悪いのか、単に何かの順番待ちのような事なのか。なんのアナウンスも無く、小一時間地上から動かない。
調子が悪いなら、飛ばないで欲しい。そういうのを無理すると、やっぱりな感じで事故になるんだよ、とエンジニア的に思う。トラブりそうなものは、トラブるのだ。
陽炎に揺らぐ滑走路をひたすら眺める。こんな薄汚い機械の狭間で、一生を終えるのか、という気持ちがある。