ウラジオストクの路線バスは、ちょっと信じられないぐらい年期が入っていた。経済圏としては韓国が近いせいか、ボロボロの大宇とかそんなものが走り回っている。今日はいい陽気だけれど、クーラーは入らずに窓全開だ。まるでヨーロッパなウラジオの町並みが、車窓を通り過ぎてく。
孫を連れて連れてバスに乗るじいちゃん、手の甲には碇の刺青が見えた。船乗りとしての人生を終えて、今は丘で暮らしているのだろうか。冬のオホーツク海を越えて、人生がこんな形で残るなら、それも悪くない。
港の小さなスーパーに行く道すがら、野良猫を見つけた。
今日は暑いが、冬場ともなれば平均気温がマイナス10度を下回る土地。もっこもこのロシア帽みたいになっているよ。ロシア文豪といった威風堂々の風格。
近寄ると、おそロシアな視線で睨まれた。退散。