夜回り先生は死にかけているらしい。だから、テレビにも出ることにしたらしい。自分は死のうとしている、生きたいのに死のうとしていて、そこに「死にたい」という電話を受けると、こんな僕でも腹が立つことがある、そう言っていた。
思い出は、忘れるか、闘うしかないと言っていた。若ければ、植物を植え替えるようにして、そういうことも出来るんだと思う。でも、悪夢のような思い出も、もう他に換えはないので、それを捨てるのは植物の根っこを取るのと同じ事。幹が大きく育ってから、根をとってしまったら、木は倒れてしまう。だから大木を、挿し木にはできない。そんな気もする。
そんな事を言うと、ある種の状況では、結局救いが無い、希望が無いと思っているように受け取られるかもしれないが、実際そう思っているのだ。