払暁、撮影者にとってのマジカルアワー。宿のベランダから、未だ生まれぬ朝日に雪山が照らされる。深夜にこの部屋に着いたので、周りの様子はまるで分からなかった。こんなに山が近かったか。目を洗うような白に、裸足でベランダに飛び出した。
残念ながら、コンパクトデジカメでこの色が出ない。(僕の腕なんだろうが)以前、重たい思いをして AF 一眼レフを背負って滑ったのは良いが、低温でちっともうまく動作せず、それっきりスキーにカメラを持って行く気が無かった。こんなことなら、T3 ぐらい持ってくるんだった。
「雪国」に来たのは、実は数年ぶりで、キリリとした寒さが一瞬気持ちいい。まあ、その後は体が冷えてしまって、どうにもならないんだが。
温泉につかってジワジワしていると、足と手の先に温かさがしみ込んでくる。湯気の向こうに、自分の足先が覗いているのを眺めながら、単純に「これはいいなぁ」と思う。旅に出たときに、昔は色々考えたけど、最近はあまり考えないようになった。
深く息を吸い込む時間。