美の時代

Photo: 晩秋赤煉瓦 2002. Sapporo, Japan, CONTAX T3, Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

Photo: "晩秋赤煉瓦" 2002. Sapporo, Japan, CONTAX T3, Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

テレビで、美輪明宏が「現代は恐ろしい時代だ」と言っていた。

陰鬱なニュース、暗い時代。

食欲、性欲、金銭欲、そういったものを皆求め、そういったものが大事だとされ、そうしてこの現代ができあがった。そこでは、精神性とか、叙情性とか、そういうものは、単なるマーケティング上のレトリックに貶められた。

モノとカネはあるけれど、品位も誇りも、穏やかさもない。そんな金ぴかのゴミ溜めは欲しくなかったのに。気が付いたら、僕たちには、選択肢がほとんど無い。僕たちの(あるいは、僕たちのちょっと前の)世代が捨て去ったものは、あまりにも大きすぎた。


昔、美が、他のいろいろなものに勝ってもっと大切だった時代があった。そんな話は、現代に生きる僕からはとても信じられないことだけれど、そんな時代に生きてみたかったと思う。


注:札幌の赤い煉瓦。もう、昔のような煉瓦は今では焼けないという。明治の時代、ドイツから来た職人が焼いた煉瓦は、人の手によって打ち壊されなければ、あと何百年か、持つだろう。今の日本で、百年後の事を考えている人は、ほとんど居ないと思う。

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