テレビで、美輪明宏が「現代は恐ろしい時代だ」と言っていた。
陰鬱なニュース、暗い時代。
食欲、性欲、金銭欲、そういったものを皆求め、そういったものが大事だとされ、そうしてこの現代ができあがった。そこでは、精神性とか、叙情性とか、そういうものは、単なるマーケティング上のレトリックに貶められた。
モノとカネはあるけれど、品位も誇りも、穏やかさもない。そんな金ぴかのゴミ溜めは欲しくなかったのに。気が付いたら、僕たちには、選択肢がほとんど無い。僕たちの(あるいは、僕たちのちょっと前の)世代が捨て去ったものは、あまりにも大きすぎた。
昔、美が、他のいろいろなものに勝ってもっと大切だった時代があった。そんな話は、現代に生きる僕からはとても信じられないことだけれど、そんな時代に生きてみたかったと思う。
注:札幌の赤い煉瓦。もう、昔のような煉瓦は今では焼けないという。明治の時代、ドイツから来た職人が焼いた煉瓦は、人の手によって打ち壊されなければ、あと何百年か、持つだろう。今の日本で、百年後の事を考えている人は、ほとんど居ないと思う。