朝の渋谷を歩く。天気が良い。平日のこの時間に何をするでもなく、カップルがうろうろしている。スクランブル交差点は、通勤する人でいっぱいだ。通勤?いったいどこへ?(答え:デパート)
この街では、ショーウインドウに映ったスーツ姿の自分が滑稽だ。まるで出勤するパチンコ屋の店員みたいだな、と思う。(パチンコ屋の店員はスーツで出勤するのかどうか知らないが)
頭上では巨大な看板に縄ばしごをかけて、ポスターの張り替え作業をしている。漠然と、何か、もっと凄いやり方で張り替えるのかと思っていたのだけれど、そんなベタなやり方で貼るのか。
新しいポスターが貼られ、新しい旗がつけられ、広場の装飾が入れ替わって、次の舞台が整う。この街はいつだってお祭りだから、常に華やかに塗り替えられていく。
得体の知れない汁で汚れた路上に佇む自販機でお茶を買って、飲みながら仕事場に向かう。
ちょっと早かったせいで、スタッフがあまりいない。急ごしらえで作られた「事務局」みたいなところで、「宣伝」と紙の貼られた椅子に、ぼーっと座っていた。
いかにもな「おはようございまーす!」という声にあたりを見回すと、僕しか居ない。そうか、ここはそっち側のルールが支配している場所か。
注:イベントとかコンサートとか、そういう人たちは、現場でなんかよく分からない人にもまず挨拶するというのが基本みたいだ。役割によって、細かく分業さ れているので、沢山の業者がからむことが多く、まともに紹介し合うこともなく現場は進んでいくことが多い。だから、まず挨拶という部分が大事なのだろう。 いくら人数がいても、無理矢理名刺交換から入る文化とは違う。