突堤の縁

Photo: 2001. Fukuoka, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Fuji-Film RHP III, F.S.,

Photo: 2001. Fukuoka, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Fuji-Film RHP III, F.S.,

突堤の縁に立って、打ち付ける波を見つめている。夕日が沈んだばかりの海面には、未だ暮れきらない明るさが残る。

恐い。薄暮の中、鉛色の液体が、ザブザブと蠢いている。冷たい手、致死のものがすぐ足許に横たわっている。

小さい頃、光の漏れるエスカレーターの隙間が恐かった、ホームから眺める線路にも、死の影があった。今、それらは恐くない。でも、コンクリートにばっさりと切り取られた海は、恐い。


ここには一人で歩いてきた。思うに、突堤は一人で来た方が良い。吹く風は、やがて全てを離ればなれにしてしまうから。

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