エーゲ海。
いや、これは「エーゲ海」ではない。「エーゲ海」に行くはずだった僕の夏休みは、ギリシャ大人気、飛行機に空席なしという事態により、「トルコの旅」に変わった。まあ、トルコも悪くないよね、と思っていた直後の米国同時多発テロ。その影響でトルコ行きの飛行機は飛ばず、結局、どこにも行けなくなった。
どうしよう?どこにいこう?
屋久島は、鹿児島空港からプロペラ機で40分。黒潮のど真ん中に立ちふさがるように位置する、南の島である。東京からわずか3時間、なんの実感もないままに、僕は屋久島の上に立っていた。屋久島に行くと決めたのは、つい一昨日のこと。理由なんてない、遠くに行きたかっただけ。Webでチケットを買って、カメラと着替えだけを背負って、ここに来た。
パシャパシャと護岸を濡らす波に照り付けているのは、南国の太陽。突堤を歩く僕の背中を、ジリジリとやいている。水は、南色。